「出藍の誉れ」のアジア勢に主役交代
価格競争の消耗戦が招いた自滅

 日本の弱電系家電各社が大きく躓いている間に、破竹の勢いで台頭してきたのが韓国、中国、台湾の家電大手である。彼らは、日本の家電業界が半世紀にわたって培い、育んできた技術やノウハウを見習い、修得して、いわば日本をお手本にした成長、発展モデルで急速に国際競争力を身に着けた。日本の家電各社を一気に凌駕する実力で国際市場を席巻し、世界シェアを広げてきたのは、まさに出藍の誉れであり、皮肉な主役交代であった。

 主役交代を加速して決定的にした要因は、国際市場での勝負どころが製品の高品質化競争から低価格競争へ、つまり値下げ合戦へシフトしたためである。日本勢が圧倒的な強みとしてきた「高品質」は、アジア勢の急速な追い上げでその優位性をあっという間に失った。品質での優劣に落差がなくなった日本勢は、安売りで勝負する消耗戦へ否応なく巻き込まれ、自滅の道へ追い込まれていったのである。

 日本国内はもとより、国際的にもほぼ同時進行で一斉にデジタル化した薄型テレビの市場争奪戦が、その象徴であった。投資コストを回収している暇もなく、値下げに次ぐ値下げの消耗戦を強いられたため、コスト競争力に強いアジア勢と弱い日本勢とでは、勝敗は決定的であった。アジア勢は基本的に人件費が安く、為替もはるかに割安である。これに対し、日本勢は人件費が高く、為替は超円高続きだった。アジア勢の安売り攻勢にはついて行けず、脱落を余儀なくされていった。

 シャープは液晶パネルの堺工場で減産を重ね、稼働率を5割に抑えてもなおしのげず、見込み違いの過剰投資が命取りとなった。パナソニックは、プラズマディスプレイパネルの第5工場の生産を休止した。ソニーは販売計画を早々に半減させて販売価格の値崩れ対策を打ち出したが、手遅れであった。

 さて、こうした日本の家電業界が熾烈な国際競争の中で勝ち残り、「日の丸家電」を甦らせ、再生していくには、業界を挙げて次の3点にわたる課題解決に取り組んでいくことが必要だと思う。