一番の要因は円高。業績予想の前提となる、今期の想定為替レートは、円ドルが15円円高の1ドル105円、ユーロが13円円高の1ユーロ120円だ。これによって営業利益ベースで、9350億円もの利益下押し要因となり、減益額の1兆1500億円の大部分を占める。

 豊田社長は「この数年の業績は円安という追い風による参考記録。これから等身大の姿が見えてくる。その中で我々の意志を続行していけるかどうか試される年になる」と、今期を総括した。その意志とは、もっといい車づくりを着実に進められる会社になること。未来への挑戦として、自動車事業の枠に収まらない領域にも、しっかり種をまいていくこと。リーマンショックのような事態が起こった時でも、揺らぐことのない財務基盤を構築すること、の三つである。

新興国需要の低迷が直撃のコマツ

 円高に加えて、新興国を中心とする世界経済減速の影響を受けているのが、建設機械のトップメーカーのコマツである。

 同社の16年3月期は売上高が6.3%減の1兆8549億円、営業利益が13.8%減の2020億円と、減収減益となった。為替はドル、元に対して円安となり、売上の約9割を占める建設機械・車両事業では、営業利益ベースで230億円の押し上げ効果があったにもかかわらずだ。

 減収減益の要因はひとえに、中国を中心とする新興国市場の需要が想定を下回り、数量が減ってしまったことによる。同社が戦略市場と位置付ける新興国市場=中国、アジア(除く中国)、中南米、アフリカなど、すべての地域で売上が減少した。背景には、経済構造改革を進める中国経済の減速→鉱物資源価格の低迷→資源依存新興国の設備投資の減少がある。例えば、建設機械・車両事業の売上は、中国が32%減の746億円、中南米が19%減の2194億円といった具合だ。

 今17年3月期は需要低迷の持続と、円高というダブルパンチに見舞われそうだ。売上は9.2%減の1兆6850億円、営業利益は28.1%減の1500億円を見込んでいる。為替の前提はドル・円が16円円高の105円、ユーロ・円が13円円高の119円である。建設機械・車両事業は、円高の影響で売上が約1600億円、営業利益で約320億円押し下げられる。加えて「建設機械・鉱山機械は需要減少が続く見通しで、部品などの販売で物量を確保し横ばいを目指す」(藤塚主夫副社長)構図が続く。