おくすり手帳の携帯を促すなら、薬局の規模にかかわらず、手帳を持参した患者の医療費は引き下げるほうが理に適っている。大型門前薬局やチェーン薬局の薬剤服用歴管理指導料を一律に500円にするという制度設計は、どこにも正当性は見当たらない。しかも非常に分かりにくい。

 それなのに、こうした特例が導入されたのは、調剤基本料の穴埋めに薬剤服用歴管理指導料が使われたと考えるのは、斜に構えた見方だろうか。

 一般的な薬局が得られる調剤基本料1は、処方せんの受け付け1回あたり410円。それに対して、調剤基本料2は250円、調剤基本料3は200円なので、160~210円報酬が低くなる。

 調剤報酬は、その他にもさまざまな加算があるとはいえ、この減算は大きな痛手だ。だが、おくすり手帳の有無にかかわらず、薬剤服用歴管理指導料を500円にすれば、調剤基本料での減算分はほとんどカバーできる。

 患者に分かりやすい制度設計よりも、業界団体の利益確保が優先されたとすれば、非常に残念なことだ。

 調剤基本料の減算を受ける大型門前薬局は、これまでの5%程度から30%程度に増えるといった調査もある。それに比例して、おくすり手帳を持参しても、医療費の自己負担が減らない患者を増やすことにもなる。

 4月に発生した熊本地震の被災地支援に出向いた薬剤師は、「被災地で、改めておくすり手帳の重要性を認識した」という。

 おくすり手帳は、病院や診療所で処方された薬の情報を時系列で記録していくことで、薬の重複投与や相互作用による健康被害を防ぐための重要なアイテムだ。国も、国民に対して、おくすり手帳を持つことを推奨している。

 だとすれば、薬局に規模によって特例を設ける矛盾する料金体系はやめて、「どこの薬局でも手帳をもっていけば医療費は安くなる」といった分かりやすい制度にしてほしいものだ。