本当に本人たちが望んでいる「支援」とズレがあるという声が、これまでも数多く挙がっていた。

「声を上げたくても、1人だとなかなか声を上げづらくて、本人の望む支援が見えづらく、本人の望まない「押し付け支援」を受けざるを得なかった現状がある。まずは、そのズレをきちんと見つめてみよう。本当に求められている支援とは、何なのかを『Hikky Voice』という当事者の声という形で表してみようということから、この冊子が生まれたんです」

 これらの声は、「引きこもり経験者」「家族(親・兄弟姉妹)」「支援者」の項目に分かれ、それぞれ「望む支援・良かった支援」「やってみたい支援」のほか、「良くなかった支援」(支援者以外)が記述されている。

「耳が痛いかもしれませんが、とくに“良くなかった支援”を読んでもらいたい」

 そう制作スタッフは、力を込める。

「制度だけで、中身のない支援が多すぎる」

 ざっくり読むと、本人や家族の多くはそんな受け止め方をしていることが、ぼんやりと伝わってくる。

 そもそも支援がなかったという声も少なくない。

 とくに、Webアンケートの結果を見ると、51人(本人42人、家族9人)のうち、「当事者会の参加経験がない」と答えたのは、その半数近い24人(本人21人、家族3人)。主な理由を聞くと、「当事者会の情報を知らない」を挙げた人が15人に上った。

「つながれる場所がない」「40歳以上は支援の対象にすらなっていない」

 自分の住む地域に、引きこもっている自分たちや家族へのセーフティネットがなかったし、制度の谷間の中で、「ここは自分の行く場所ではない」と遠慮してしまい、どこにもつながれなかったという声は多い。