「生活保護なのに焼け太り」は
現実にありうるのか?

 ツイッターなどのネット世論では、

「生活保護の人たちは、住宅扶助を受けてアパートに住んでいたわけなので、アパートが被害を受けて住めなくなったからといって、余分に費用がかかるわけではない。また、負傷したり病気に罹ったりしても、医療費は無料。義援金などの支援は必要ないはず」

 という意見も見受けられる。しかし、繰り返すが、生活保護を利用している人々は、もともと「最低限度」の、薄氷を踏むような生活をしているのである。災害によって被災し、あるいは避難生活をしている場合には、最低限度以下、足元の薄氷も割れてしまった生活になっているのだ。

 義援金・賠償金によって、災害以前より状況を改善できた事例は、あっても極めて少ない。間違っても「ボロアパートに住んでいた人が、タワーマンションに」というようなことはありえない。

 東日本大震災の際、東京電力からも賠償金を受け取った福島県内の生活保護世帯でも、事情は同様だった。倉持さんは、

「東電の賠償金を使って子どもの大学進学を実現させた生活保護世帯があった、という話を聞いたことはあります。けれども、その一家は本当にラッキーだったのでしょう。

 東日本大震災の時、福島では特に、みんな『いつ原発が爆発するのか、また避難しなければならないのではないか』とビクビクしていました。しかも、生活保護世帯はほとんど車を持っておらず、貯蓄もないので、『いざ避難』という時に、避難の手段がありませんでした。

 生活保護世帯にとっての震災時の義援金は、傷ついた被災者の不安を軽減させる拠り所でした。使えなくなった生活用品を買い直したり、進学や資格の取得にお金を使ったりすることを考えられるようになったのは、余震が減って、原発も一応安定してきて、生活が落ち着いていく中でのことだっただろうと思います。

 熊本でも、余震が非常に多いと報道されています。被災した方々のお気持ちは、あまり変わらないのではないでしょうか?」(倉持さん)

 と語る。

 次回も引き続き、震災と生活保護の問題を考えたい。生活保護のもとで生活再建を行う際、何が可能で、どのような限界や制約があるのだろうか?