『7つの習慣』は単なる自己啓発本ではない。そこには大企業のビジネスマン、あるいは年端もゆかぬ子どもたちが等しく学ぶべきエッセンスが凝縮されている。著者のスティーブン・R・コヴィー博士とは何者なのか。「7つの習慣」のどこが凄いのか。まずは、そこから解説しよう。
7月30~31日の2日間、六本木ヒルズで開催されたセミナー「ザ・ベスト・オブ・ドクターコヴィー」に300人近い参加者が詰めかけ、会場は異様な熱気に包まれた。
参加者のお目当ては、スティーブン・R・コヴィー博士その人である。1989年に彼が世に問うた『7つの習慣』は38ヵ国語に翻訳され、全世界で2000万部のベストセラーとなった。日本でも累計130万部も売れ、根強いファンが多い。セミナー後の懇親会で「生コヴィー」に触れることができるS席料金は何と15万9000円。それでもアッという間に70席以上が埋まった。
コヴィー博士は当年とって78歳。アメリカの歴代大統領──レーガン、ブッシュ(父)、クリントン、ブッシュ、オバマ──の助言者であり、33人の国家元首にコンサルタントとして請われた実績を有する。かつては経営の神様、故ピーター・F・ドラッカーとも親交を結んでいた。
『7つの習慣』を柱とする出版事業、研修・セミナー事業は、フランクリン・コヴィー社によって運営されており、コヴィー博士はその総帥でもある。ちなみに、フランクリン・コヴィーはニューヨーク証券取引所に上場し、147ヵ国で事業展開している。立派なグローバル企業だ。
ビジネス・自己啓発本で2000万部は間違いなく世界最多を争う記録だが、『7つの習慣』の凄さはそれだけではない。
研修・セミナー事業を例にとれば、フォーチュン100社のうち90%以上が「7つの習慣セミナー」を導入している。すでに日本でも累計3500社、20万人以上のビジネスマンが受講した。39ページの一覧表を見ればわかるように、誰でも知っている大企業、官庁、学校が名を連ねる。
また、『7つの習慣』の「第3の習慣・重要事項を優先する」には時間管理の要諦が書かれているが、そこから誕生した「フランクリン・プランナー」という手帳は、全世界2100万人のユーザーに愛用されている。すべての数字がケタ違いに大きいのだ。