オタクが求められている分野は
意外と幅広い

 以前、オタクという言葉にはどこか揶揄の響きが含まれていましたが、現在は特定の領域に集中しきれる、他のことは捨て置いてまで没頭できるという意味で褒め言葉として使われています。言い方を変えれば、オタクの価値が急上昇していると言えます。

 これまでもピンポイントで強みを持っている人という意味で「尖っている人が欲しい」と言われてきました。ただ、オタクと言われる人はちょっと異なる尖り方で、仕事であるなしにかかわらず、自分の好きなことにとことん没頭するというイメージです。

 ITやゲームの世界以外でも、オタクの価値が上がっている分野はあります。もともと人事は従事している人が非常にオタクになりやすい分野ですし、経理・財務もそうです。意外なところでは営業や販売職でも価値が上がっています。背景には「その分野をよく知っている人から買いたい」という顧客のニーズがあります。

 当社では、別事業で高級システムキッチンの販売も行っています。高価な商品でもあり、中途半端な商品知識の社員が接客するとあまり売れませんでした。ところがシステムキッチンが大好きで、カウンターの素材や石の種類、扉の材質などかなりマニアックな知識を持つスペシャリストが接客をするようになった途端、どんどん売れるようになったのです。

 お客様は当社以外にも競合他社のショールームをまわったり、事前にインターネットでよく調べて知識を仕入れていたりします。ところが当社のスペシャリストはお客様より圧倒的に豊富な知識を持っています。というのも、この社員はインテリアやシステムキッチンに関するオタクで、暇さえあればインテリア関係の雑誌を読み漁り、休みはインテリアを見るために自腹を切って海外の高級ホテルへ宿泊しに行くぐらいなのです。

 以前、お客様から「バリ・ジンバランのフォーシーズンズのような雰囲気に合うキッチンにしたい」とのご要望があったとき、「そうするとこんな感じですね」と返答したところ「ご存じなんですか!」「泊まったことがあります」と話が盛り上がり、成約に至りました。やはり、こうした会話のできる店員はお客様の心を捉えます。