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安倍政権は消費税率の10%への引き上げを先送りしました。その根拠として世界経済の先行き不安があげられていますが、それが東京オリンピックに近づけば改善するという保証はありません。2年半後という時期は、次の参議院選挙後という政治的な都合にもとづいています。
OECDによれば、日本の財政赤字の大部分は、景気循環ではなく構造的な要因にもとづいています。それは主に高齢化で社会保障給付費が増える一方で、低迷する賃金に比例して社会保険料が横ばいであることのギャップから生じています(図)。これは一般会計からの補助金で賄われており、それが年々拡大することが一般会計赤字の主因となっています。
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このように、社会保障収支の赤字額が、長期的に国債発行額とほぼ同じ水準となっていることは、「借金に全面的に依存した社会保障」という日本の悲惨な現状を示しています。元々、日本の財政法では、国債を発行してよいのは、国の資産として残る公共投資の場合のみと明記されていますが、それが長年にわたって無視されているのが現状です。
その意味で、単に増税の先送りだけで済ますという選択肢はあり得ません。現在の正しい政策課題は、増税をするか否かではなく、持続的な増税か社会保障費削減かの二者択一しかありません。
今回、定められた2年半の消費税凍結期間は、シルバー民主主義に対抗して、これまで聖域とされてきた社会保障費への切り込みを早急に検討するための機会として活用する必要があります。