ゆとり批判は差別なのか(写真はイメージです)

 馳浩文科相が「脱ゆとり教育」を宣言したことに、ゆとり世代から反発の声が上がっている。

 馳氏は5月10日の記者会見で「ゆとり教育を全否定するものではない」と前置きしつつ、「ゆとり教育が『緩み教育』と間違った解釈で浸透してしまったのではないかという危惧と現場の声」があると説明。どこかでゆとり教育との決別を宣言すべきだと考えていたと明かし、次期学習指導要領の“脱ゆとり教育”を宣言した。

 一般的に「ゆとり世代」と呼ばれるのは1987年4月~1996年3月生まれ。“実験台世代”ともいわれ、国策に翻弄された部分も大きい。それなのにいまさら国が「ゆとり教育は間違いでした」と判断したことに関し、ネット上では「自分たちは失敗作か」「ゆとり世代という言葉が余計に差別的に使われるようになる」といった反発の声が数多く上がっている。

 実際、近年はゆとり世代という言葉が差別的に使われる場面が増えた。オウチーノ総研が今年4月に発表した調査(ゆとり世代の男女688名が対象)によると、その特徴としては「打たれ弱い」「仕事の付き合いよりもプライベートを優先」「スマホ・ケータイ依存」「出世にこだわらない」といった点が挙げられる。このイメージは世間一般でも同様だろう。

 結果、ゆとり世代は「協調性がない」「すぐに仕事を辞める」「こらえ性がない」などの理由で、主に上の世代からバッシングの対象にされるようになった。ネット上でも「だからゆとりは……」といった書き込みが目立つ。「ゆとり」の一言で相手の人格を全否定する場面も見受けられる。