多かったのは、年度初めに年間スケジュールに長期休暇の予定を入れておくというものです。この段階でどこに行くかなどは後回しです。まず家族会議などで、最初に日程を決めて手帳などに書く儀式を行うこと。最初に日にちを押さえておくことで、意識は大きく変わります。先人の中には、その段階で紙に書いて冷蔵庫などに貼っておくという人もいました。

 さらに、その後はできるだけ早く行き先を決めて、「休暇の日程問題」から「向こうで何をするか問題」へと、つまり楽しい問題へと切り替えることがコツです。日程の調整はどうしても仕事が溜まることへの不安や、周りへの迷惑がトレードオフになるので、ネガティブな意識が働いて、つい言い訳をしてしまいますが、楽しい問題になればなるほど、先送りせずに積極的に解決しようという意識になるのです。

 しかし休暇というのは、結局のところ意思の問題です。仕事をスムーズに進めることを前提に合理的に考えれば、休暇など取らないほうがいいからです。ですので、休暇は取りたいけど取ると後で苦労するという言い訳のもと、ずるずると後ろにずれていくのです。

 かつての企業戦士たちが長期休暇を取れなかったのは、本当は取ろうとしていなかったから、というのが最大の原因のはずです。

 もう一つ、成功者がやり繰りしていた工夫には、「やるべきことの具体化」というのがありました。これは端的に言えば、「そもそもあなたは、休暇が取れたら何をしたいのか?」という質問に答えられるかどうかなのです。

 この質問に答えられない人は、言い訳を繰り返して休みを取れずに、あとで「ああ、やっぱり取っておけばよかった」と後悔する可能性が高いのです。そもそも人は、やることの意味を自分の中で理解していないと行動できない生き物です。休暇を取って何をしたいのかがわからなければ、休暇を取ることはほとんど運任せになってしまいます。でも実際には、ほとんどの人はそれに近いでしょう。

「しばらく働きづめだったので、夏ごろ充電期間がほしいなあ」というのと、「8月まで頑張って働き、9月の一週目に子どもと一緒に軽井沢のタリアセンでゴーカートに乗りたい」とでは、日程調整からその日までの仕事のやり繰りまで含めて、全然意識は変わってくるはずです。

 休暇の取得の難易度は職種や仕事の内容によっても異なりますが、その多くは前倒し作業やメンバーとの分担で解消します。休暇取得に成功した諸先輩たちは、同じことをみんな言っています。「最初は難しいと思ったけど、やれば仕事は案外片づけられる」と。

【ポイント】休暇は「年度初めの計画」「やるべきことの具体化」で取得する

第22回に続く(7/13公開予定です)