上手に休暇が取れる人と取れない人の違いとは何か?上手に休暇が取れる人は、どのように計画を立てているのだろうか?1万人インタビューからわかった休暇上手の共通点を公開。シリーズ最新作『40代を後悔しない50のリスト【時間編】』から、一部を抜粋して紹介する。

【後悔リスト21】有給休暇をなかなか取れなかった

 長期、短期にかかわらず、休暇をなかなか取れないという悩みは、以前から日本のビジネスパーソンにとって大きな課題でした。

 私が社会人となった30年前にも、「勤続20年で30日」などのリフレッシュ休暇を人事制度として持つ会社はありましたし、「失われた20年」の間に、休暇を制度的に取りやすくする動きもだいぶ進んだことは事実です。

 しかし実際には、業務の都合上取れなかったり、業務的には可能でも、どこか罪悪感や後ろめたさがあって、休みを取っていない人が多いのです。厚生労働省の調査でも、日本の有給取得率は先進国の間でダントツに低いですし、労働者の3分の2が取得に対して「ためらいを感じる」と答えているほどです。

 その精神性には、仕事に支障をきたすことへの不安より、同調圧力の強い国民性特有の「みんなが取っていないから」という理由が大きいような気がします。

 40代にこの後悔が入る理由の一つに、小さな子どもを抱えている人が多いこともあげられるでしょう。後で振り返ったときに、一緒に出掛けたり旅行することができる年代の子どもを持っていながら、それができなかったことへの後悔が如実に表れています。リタイアして有り余る時間を手にしても、かつて小学生だった子どもはもう巣立ってしまい、そこにはもういないのだと……。

 子どもに対して、家族に対して、そして自分に対しても、40代でなければできなかったことが山ほどあったにもかかわらず、仕事にかまけて思考停止になってしまい、なんとなくやり過ごしてしまったということを悔いているのです。

 2016年春からいよいよ企業に対し、従業員の有給休暇の消化が義務付けられることになりました。これまでは社員に休暇を申請してもらい、それを上司なり会社なりが承認するというシステムが多かったと思いますが、2016年からは逆に会社の方から社員に取得期間を指定することが義務付けられるのです。それも、一般社員だけでなく管理職に対しても適用されることになっています。

 しかし現実的には、制度によって変わることを期待するより、個々人が意識の変化を促して、時間の使い方を見直さない限り状況は変わらないでしょう。

 有給休暇を上手に取得している先人たちに共通しているのは、「年次計画」と「やるべきことの具体化」という二つです。

 多くの人は先の予定は組みにくいというのを言い訳にして、夏休みなら、7月近くなってようやく日程調整をするという感じだと思います。これでは逆に仕事の調整が難しくなり、チーム内の調整の中で削減されてしまったり、無理やり休みを取っても周りに迷惑がかかってしまうのがオチです。

 休みの取り方においても、うまくいっている人の時間の使い方は共通しています。それは今取り掛かっている仕事をいかに早く終わらせてエアポケットのような時間を捻出しようとか、この仕事が終わってラクになったら休暇を取るという発想ではないということです。こうした発想をしている限り、休暇は常に逃げ水のように手が届きそうで届かないまま永遠に追いかける対象となります。

 成功者は、いつも最初から時間の配分を変えています。休暇の時間も最初から予定に組み込んでいて、それに合わせて他の仕事を調整しているのです。もちろん、突然業務のはざまに生まれる休みというのはあるかもしれませんが、それに期待している限り、後悔している先人たちと同じ轍を踏むことになるでしょう。