すなわち、EU好感度が低い国は2つのグループに分かれている。英国やギリシャはEUが気に食わないからEUから離脱したいと考える国民が多いのに対して、フランスやスペインは、EUは気に食わないけれども、そうした状況から脱するために、もっとEUの権限を強化してまともに機能するようにすべきだと考えている国民も多いのである。大陸ヨーロッパでは島国英国とは異なってEUは自分たちのものという意識が強いことの反映ともいえる。

 ドイツやイタリアの国民はEU好感度がそう低くもなく、権限強化についてもそうはっきりした意見はないのが現状のようだ。

 このように見てくると、国民投票をしてもフランスやスペインでは英国のようにEU離脱派が多数を占めることはなさそうである。むしろ、英国以外の各国政府は、英国的な考えが自国民に感染しないようEUからの英国排除を急ぐ可能性があろう。

 それでは英国のEU離脱という結果が出たにもかかわらずEU各国は安心してEU統合を進めて行くことができるのだろうか。

長期的なEU好感度の低下傾向に
歯止めがかからない可能性

 単年度の調査結果はこころもとない。というのは、現状が特殊な時期なのかどうかを判断できないからだ。来年になったら状況は大きく変ってしまうかもしれない。そこで将来をうらなうには、過去にさかのぼった情勢分析が必要となる。

 これまで分析してきたピュー・リサーチセンター調査では、「EUの権限を各国に戻すべきか」は2016年にはじめて行われた設問であるので過去と比較できないが、EU評価についての設問は、EUにポーランド、ハンガリーなど東欧10ヵ国が加盟し25ヵ国体制になった2004年から継続的に行われている(なおEUは、その後、2007年に2ヵ国、2013年に1ヵ国加盟、現在28ヵ国体制)。

 こちらの設問の時系列変化を追ったグラフを図3に掲げた。

図3 ヨーロッパにおけるEU評価の推移