さいきん夜中に何度も目覚めてしまう……しかもトイレに行く回数も増えた……。そんな悩みに心強いのが、整体や鍼灸の技法を自分自身にほどこすセルフケア「自力整体」です。全国で約1万5000人が実践し、「よく眠れるようになった」「無理なくやせた」「長年の痛みが軽くなった」と多くの声が寄せられています。
矢上真理恵さんの新刊『すっきり自力整体』では、老廃物を流し、痛み・むくみ・余分な脂肪まで落としやすくなる方法を体系的に紹介。本稿では、その中から“体のめぐりを改善するワーク”を厳選してお届けします。
監修:矢上 裕(矢上予防医学研究所所長/自力整体考案者/鍼灸師・整体治療家)
写真:榊智朗 構成:依田則子

【整体プロが指南】夜中のトイレの回数が増えた人はやってみて。むくみも消える1分習慣

熟睡できるようになったOさんのケース

「足首って、私にもあったんですね……!」

 これは、自力整体をはじめて1ヵ月後、Oさん(60代)がふとこぼした一言です。

 長年のむくみで足首がほとんど見えず、慢性的なコリや痛み、そして約78kgという体重。いわば「重だるさが日常」でした。

 しかし、自力整体を続けるうちに、数週間でむくみがふっと軽くなり、3ヵ月後には体重7kg減。足首もすっきりと戻ってきました。

 そして本人が最も驚いたのは、夜中に必ず目覚めていたのが、朝までぐっすり眠れるようになったこと

 特別な運動もなし。変えたのはたったひとつ、体の“流れの通り道”を整えたことでした。

浅い眠り・むくみの正体は「水の出口不足」

 Oさんの体には、東洋医学でいう“水(すい)”の老廃物がたまり、それを押し流すポンプ役である“筋肉”がうまく働かない状態でした。

 むくみは「水の飲みすぎ」「塩分のとりすぎ」だけが原因ではありません。
 じつは、出す力が弱い=通路が詰まっていることが本当の問題
 これが冷えや眠りの質の悪さ、代謝不良を起こしていたのです。

 とくにOさんの場合は、

・股関節まわりの硬さ
・ふくらはぎのポンプ力の低下
・呼吸が浅く、横隔膜が動いていない

 この3つが重なり、水が“出口渋滞”を起こしていたのです。

自力整体で取り組んだ「たった3つ」

 Oさんに3カ月間取り組んでいただいたのは、おもに次の2つ。

1)寝る前20分の自力整体(+オンライン受講)

2)整食法の実施(夕食は寝る3時間前に済ませる)

とくに「1)寝る前20分の自力整体」では、この3つを意識していただきました。

股関節ほぐし(骨盤まわりをゆるめる *ワークは後半で紹介)
 骨盤まわりがゆるむと、下半身の水が通るルートがいっきに開きます。

ふくらはぎのポンプ復活(足首ほぐし)
 足首が硬い人はほぼ例外なくむくむタイプ。とくに“すねの外側”の張りをゆるめると、流れがガラッと変わります。

深い呼吸(横隔膜をしっかり動かす)
 深い呼吸ができると、血と水が上半身へ戻りやすくなり、むくみ改善の決定打に。

朝まで目覚めず熟睡。さらに体重は7kg減、ウエストは20cmダウン!

「たったこれだけ?」と思うほどですが、脱力と深い呼吸は筋肉のこわばりをほどき、循環をいっきに引き上げます。

 自力整体は“頑張る運動”ではなく、体の通り道を開く技術。だからこそ、少ない動きで大きく変化するのです。

 その結果、夜はぐっすり眠れるように
 代謝と排泄力もアップ。3ヵ月後には体重が7kg減ウエストはなんと20cmもダウンしました。

【整体プロが指南】夜中のトイレの回数が増えた人はやってみて。むくみも消える1分習慣

“流れ”が整うと、すべてが良くなる

 冒頭の「足首って、私にもあったんですね……!」という言葉は、むくみの水が流れはじめた何よりの証拠です。

 Oさんの変化は、

・夜トイレに1~2回は起きていたのが0回に
・朝の目覚めもすっきり!
・頭痛や肩コリ、重だるさが気にならない
・熟睡できて肌もしっとり
・夕方、靴下の跡がつかなくなった

 “流れ”が整うと、生活そのものが変わりはじめるのです。

1分でめぐりを整える!「股関節ほぐし」のワーク

 ここからは、Oさんも実践した新刊『すっきり自力整体』から「股関節ほぐし」のワークの一部をご紹介します。

 鼠径部を伸ばすことで水の詰まりを改善し、冷えやむくみ改善。熟睡はもちろん、足腰の痛みの緩和にも役立ちます。毎日の習慣にするとよいでしょう。

 実践方法は、次の画像を参考におこなってみてください(※画像は『すっきり自力整体』より)。

【整体プロが指南】夜中のトイレの回数が増えた人はやってみて。むくみも消える1分習慣

◎「股関節ほぐし」のワーク

【手順1】
◆ひざ立ちになり、左脚を斜め45度前に出し、体の重心を前に移動

【手順2】
◆上下に軽くバウンドしながら、ももの付け根をじんわり伸ばし、腸腰筋をほぐす。しばらく続ける

*腸腰筋=腰から脚の付け根の大きな筋肉

【手順3】
◆反対側も同様に。硬い側は長めにおこなうのがおすすめです

 時間に余裕のある日は、書籍『すっきり自力整体』で紹介している動画でわかる「20分ショートレッスン」で、全身をしっかり整えるのもおすすめです。

『すっきり自力整体』では、このほかにも整体プロの技法を応用したデトックスメソッドを多数掲載。老廃物の排出、コリや痛みの緩和、不定愁訴やゆがみの解消まで、自分でできる整体の実践法を紹介しています(★54分の動画付き)。

矢上 真理恵(やがみ・まりえ)
矢上予防医学研究所代表取締役
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見て、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』『すぐできる自力整体』(ダイヤモンド社)がある。

自力整体オフィシャルウェブサイト
https://www.jirikiseitai.jp/

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)
矢上予防医学研究所設立者、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約400名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』『100歳でも痛くない 痛みが消える自力整体』(ともに新星出版社)など多数。自力整体の書籍は累計32冊、総発行部数は77万部を超える。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。
※自力整体は矢上裕の登録商標です。