「それはどういう話ですか?」「前任者から仕事を引き継いだときに、そのクライアントの話も聞いて、この会社をそのままにしておくのは実にもったいないと思ったので、先方の担当者の連絡先を聞いて、アプローチを試みました」

 ところがアポが取れない。そこで、そのクライアントは遠方だったそうですが、資料や提案書などを持って、足しげく通う。最初は門前払いだったそうですが、そのうちに根負けして会ってくれるようにはなった。ただし、仕事の話は一切なし。1年近く、雑談をしては帰ったといいます。

 そうした中である時、世間話から先方の担当者の奥さんがスイーツ好きだと聞き出して、東京で当時人気だったスイーツを店に並んで買い、届けるようになったそうです。

 そんなことを続けて最後は、奥さんが旦那さんに、「あなた、話だけでも聞いてあげて」と味方になってくれて、ビジネス上の付き合いも復活したというのです。

「そんな話しかないですよ」とその方は言うのですが、これはすごい話だと思いました。これこそが地上の星の活躍です。もちろん彼は、そうした効率の悪い活動だけをしていたわけではなく、やるべき仕事を回しながら、掘り起こしも行ったわけです。

 これは、顧客関係管理、いわゆるリレーションシップ・マネジメントの成功事例です。

 ところが残念なことに、本人にはそうした認識がない。そこが一番の問題なのだと思います。

 だからこんなふうに、自分が入社以来、コツコツやってきたことをできるだけ詳細に思い出すことが、自分再発見の第一歩です。

 ただし、地上の星の輝きは、地上にいると見えにくいものです。そこは俯瞰して見るしかない。

 そのためには、できれば、話し相手がいたほうがいい。対話をして自分の経験を掘ってくれて、「それすごいじゃん!」と素直に反応してくれる話し相手がいたほうがいいでしょう。

あなたのその能力、
別の職場なら偏差値65かも

 次のステップです。自分の今までの活躍を認識するだけでは、これからもう一花咲かせようにも、これまでと同じ仕事の延長線上で頑張るしかありません。それでは残念ながら、第二のステージとまでは言えない。せいぜい1.2とか1.5のステージに留まります。

 地上の星が次に輝くのは、今とは別の場所であるべきだと思います。いや、そうでなければ、さらに輝くことは難しいと思います。別の場所であれば、今度こそ天空に輝く星になれるかもしれません。

 地上の星として、これまで天空に輝く星を支えてきた人が、50歳を過ぎてから自らが天空に輝く星になることは、そのままでは残念ながら極めて困難です。しかし、場所が変われば、その可能性はまた生まれると思います。