相手によって態度をコロコロ変えるのは良くない、相手から信用されなくなる…と思われがちです。心理学者のバトラーも、「仕事で周囲から信頼や協力を得るためには一貫した態度をとるべき」と述べていたり、マイナビウーマンが行った調査でも信用できない上司のタイプ1位に「人によって態度が変わる」が選ばれています。

 ところが、逆にコロコロと態度を変えることで、仕事を円滑にこなしている人も意外に多いようです。特に個性豊かで自己主張の強い経営陣と接する仕事をする場合、こうしたスキルが生きてくる人がいます。今回は、そんな人によって接し方を巧みに変える“八方美人な社員”の必要性について考えてみたいと思います。

三者三様の経営陣から
「仕事ができる」と評価される28歳

なぜか役員に若い頃から評価される人は、何が違うのでしょうか?
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 インターネット広告やゲーム事業で成長中のE社。最近では大学生にも人気が高く、注目度がより高まっています。そんなE社には社内で評判が高い仕事のできる人物がいます。経営企画室に所属するTさん(28歳)です。

 営業部で高い成績をあげて、本社に異動。現在は社内の各部門から経営予測を集めて、全社の業績予測をしたり、経営会議で使う資料を作成するのが主な仕事です。当然のことながら、個性豊かな経営陣と接することが数多くあります。

「営業時代と違い、社内でコンセンサスを取りながら仕事を進めることは大変ですが、とてもやりがいを感じています」

 と、採用HPでもTさんが現在の仕事について語る記事が掲載されていました。

 ちなみにTさんが頻繁に接する役員は3名います。まずは、創業者のF社長です。創業から現在に至るまでの物語を書いた自著がベストセラーになったこともあり、世間的にも有名な人物です。笑顔が絶えず、社内で誰もが尊敬する存在。「仕事を部下に任せないと会社は成長しない」がモットーです。

 続いて、創業期に大手商社を辞めてE社に転職してきた、急成長の立役者と呼ばれているS副社長。いまでも副社長のアイディアから生み出される新規事業は数知れず、E社の成長を牽引する存在です。

 3人目は、金融機関からヘッドハントされて投資部門を任されているG専務です。数多く持ち込まれる投資案件を的確な分析によって見極め、投資。買収先とE社との高いシナジーを生み出すことで会社に大きな利益をもたらしています。