ミラノ万博でも注目に
EU圏で味わえる日も近い

鰹節は徹底的に水分を除去した食品のため、長期間保存が利く。ちなみに世界で一番、硬い食べ物とも言われている

 国内需要が減少するなか、新丸正は海外への展開も積極的に行い、EU圏への輸出許可申請を進めている。先に出品したミラノ万博でもそのかつお節は注目を集めた。原料から加工まで一貫生産している数少ないメーカーとして期待が大きい。

 対米に比べ、対EUへの輸出ハードルが高いのは燻製する過程で生成されるベンゾピレンという化合物基準の影響だ。スモークサーモンと同じ基準が適用されるため、ススや焦げが少しでも付着していると基準に適合しなくなる。さらにかつお節は水分が少なく軽いので100g当たりの他の基準を適合されると不利なのだ。

 HACCP(衛生管理の手法)についてもアメリカは工場内だけを満たせばいいのに対し、EUは船、港、冷凍庫、工場とそれぞれの基準を満たさなければ輸出はできない。新丸正では焼津市内のかつお節メーカーと共同でベンゾピレンが少ないかつお節を開発、EU HACCPに適合した工場を新設し、現在申請を進めているところだ。フランスやスペインなどすでに現地で生産をはじめている会社もあるが、この申請が認められれば無事に日本のかつお節が海を渡ることになる。

──海外の反応はいかがですか。

「昔はFishy(魚臭い)という反応が多かったのですが、今は味わってもらえば大抵おいしいといってもらえます。個人的に思っていることはアメリカに行くと椎茸はShitakeとして売られていますよね。かつお節は dried bonitoとかbonito flakeと呼ばれていて、それでもわからない人がいます。これがKatsuobushiという名前で呼ばれるまで広めていきたい、ということです。日本食が世界に広まっているのはヘルシーだから。脂肪分を含まないかつお節の旨味が果たしている役割は大きいですから」

──海外の関心の高さにもかかわらず日本人も意外とかつお節のことを知らない、というのは不思議な気もします。100年後も大丈夫でしょうか。

「100年と言わずにもっと大丈夫じゃないと困ります(笑)。昨日も30名くらいの方がこられて説明しましたけど、見学などもできるだけ受け入れています。そうしたことを通じて、かつお節の良さを伝えていきたい。うま味調味料に慣れてしまうと濃い味じゃないと満足しなくなってしまいます。日本人が健康でいられるためにもそうした活動は続けていきたいですね」