PCメーカーとしてスタートし、ソリューションベンダーに拡大したデル(Dell)。2013年の株式非公開化や2015年秋に発表したEMCの買収計画などは知られているが、起業家支援活動はあまり知られていない。自身もベンチャーとしてスタートした創業者兼CEOのマイケル・デル氏の下、いくつかの起業家支援を行っているが、その中でもユニークなのが女性起業家へのフォーカスだ。

 その中心となる女性起業家を集めて課題を話し合う年次イベント「Dell Women's Entrepreneur Network Summit」は今年で7年目を迎え、7月初めに南アフリカ・ケープタウンで開催された。会場で、デルで「客員起業家」(EiR:Entrepreneur in Residence)として起業家支援を進めるエリザベス・ゴア(Elizabeth Gore)氏に聞いた。

デルはなぜ、起業家を支援するのか

――EiRとして、デルでどのような仕事をしていますか。

エリザベス・ゴア(Elizabeth Gore)
デルの客員起業家。自身も2歳と5歳の子を持つ。前職は国連財団での客員起業家。取材は朝方で、この日は朝いちばんのインタビュー前に、「南ア名物のミートパイを食べに市内まで行った」と笑顔で語った
Photo by Yoko Sueoka

エリザベス・ゴア氏(以下・ゴア氏) デルは2~3年単位でEiRを任命します。私は就任して2年目を迎えました。私の重要な任務は、デルが持つすべての資産を理解し、それを起業家の推進に役立てることです。デルの資産とは、顧客だったり、デルの幹部だったり、製品、ブランドなどです。

 それにあたって最初にやることは、起業家の声を聞くことです。起業家が何を必要としているのかを理解し、それを起業家全体を推進するものに変えていきます。グローバルレベル、あるいは国や地方レベルでのポリシー推薦の場合もあれば、企業の成長にあわせて拡張するエンドツーエンドのソリューションの場合もあるし、データや調査かもしれません。

 デルは、女性起業家、人種的マイノリティに属する起業家と、さまざまな起業家のニーズについて調べています。起業家が必要としていることは日本と米国では異なります。そういうデータの発信も重要な仕事です。起業家のフォーカスは事業を軌道に乗せて成長すること。そのため、自分たちのニーズについて声を発していくことが難しい。デルはパートナーとともに、起業家の声に応える支援を行っていきます。