失うものがないタンク型
競合他社と比べたメリット

 新興国ではタンク型に追随した競合大手は、国内ではブラザー以外は、現時点で追随していない。その理由には様々なことが考えられるが、1つの理由として、他社とエプソンとではプリンタの機種構成が異なることが考えられる。

 エプソンは、インクジェットの方がレーザーより比率が高いが、キヤノン、HPはレーザーの比率の方が高い。

 タンク型プリンタは、大量に印刷する個人もしくはSOHOをターゲットとしており、インクジェット方式ながら低価格のレーザープリンタ市場と重なる商品である。そのため、エプソンにとっては得意なインクジェットの市場を拡大することになるが、競合他社にとっては、主力のレーザーの市場が浸食されていく可能性がある。すなわち、タンク型はエプソンにとっては、失うものが少ない状況であった。

 タンク型プリンタは、2016年6月末現在、150以上の国と地域で販売され、累計販売数は1500万台を越えた。その結果、エプソン全体のインクジェットプリンタにおけるタンク型の数量比率は、2015年度には35%に拡大してきた。

 エプソンは、本体価格は従来機より高いが、1枚当りのインク代は安いプリンタ「V-edition」を、2016年3月に市場に投入した。この製品は画質の良さが売り物であり、写真を自宅で印刷したいハイアマチュアがターゲットになっている。

 こうして国内では、従来型のインクジェットプリンタと、その対極にあるタンク型、そしてその中間にあるV-editionと、本体と消耗品との関係で見ると、3つの選択肢を提供している。

 伝統的な製造業では、製品価格をコストプラス方式でつけている企業も少なくないが、エプソンではコストからではなく、ビジネスモデルの違いから本体及びインクの価格設定をしている。