原子力発電所の再稼働の行方が、ますます見通せなくなってきた。

現在、3件の運転差し止め仮処分が申請されている伊方原発。今後、他の原発でも波状攻撃を受ける可能性が高い Photo:JIJI

 その最大の要因は司法だ。目下、四国電力の伊方原発3号機が今月下旬に再稼働する予定だが、それに反対する周辺住民が、原発周辺の地方裁判所に相次いで運転差し止めの仮処分を申請。今年3月の広島地裁を手始めに、5月末に松山地裁、今月に入って大分地裁と、現在3件の仮処分が申請されているのだ。

 住民は稼働阻止の狙いを付けた原発に対し、周囲の地裁で立て続けに仮処分を申請する“波状攻撃”を仕掛けている。原発から半径250キロメートル圏内に住む人であれば誰でも申請でき、仮処分は訴訟よりも短期間で結果が出る。その上、即、効力が発生するため、原発をすぐにでも止めたい住民にとっては都合が良いからだ。

 3件の申請の中でも、住民側は大分地裁で運転差し止めが認められるのではないかと期待を寄せている。審理を担当する竹内浩史裁判長が、弁護士として活動していた時代に原発再稼働に否定的な法律家団体に所属していたことに加え、一貫して住民側に立って企業や国と戦ってきた法律家だからだ。もちろん、現在の竹内裁判長の原発に関する考えは明確には分からない。