カトリック教会で結婚式を挙げた2人は、婚約時代、教会でおこなう「結婚講座」に出席していた。うつがよくなってから、講座の同窓会で貂々さんが近況報告したときのようすを、ツレさんはこんなふうに回想している。

 「結婚式で読み上げた『誓約』をまた読み上げて胸にこみ上げるものがありました。それは『順境のときも逆境のときも、病気のときも健康のときも』というところです。去年は彼が病気で……」そこまで言って、彼女は嗚咽で先がつづけられなくなった。(「ツレがうつになりまして。」より)

 あかるくのんびりと病気を見守っていた貂々さんだが、ほんとうは夫と同じように苦しみ、祈るような気持ちで回復を待ち続けていたのだろう。とかく「成功」や「幸せ」という言葉に踊らされてしまうわたしたち。だが、夫婦の絆を確かなものにしてくれるのは、うつのような試練にほかならないのかもしれない。


■細川貂々さんのおもな著書

「ツレがうつになりまして。」【幻冬舎】
「その後のツレがうつになりまして。」【幻冬舎】
「イグアナの嫁」【幻冬舎】
「どーすんの?私」【小学館】