日経新聞が報じた「採用活動を4年生の夏以降に」という商社業界の問題提起が、企業、大学、学生に大きなインパクトを与えています。日本経団連が定める「倫理憲章」では、企業に対して「4年生になるまで面接など選考活動を実施しないこと」を求めています。しかしながら実態は、会社説明会などを通して、ほぼ選考に等しい学生への接触を図っており、4月に入るとすぐに内々定が出ています。学業に集中すべき3年から4年の時期を、就職活動に費やす今の学生。商社の問題提起は、学生にしっかり学ばせ、人材の能力アップを図ろうという考えのようです。
短期集中の
「採用=就職活動」に変わるのか?
10月に入り、大学3年生の就職活動はいよいよ本格化していきます。リクナビ、マイナビ、ダイヤモンド就活ナビなど、いわゆる就職情報サイトがいっせいにオープンし、大学生が登録を始めています。
また、大学は10月、11月と企業の人事担当者を招いた「就職説明会」を数多く開催します。
私も10月2日に、都内のある私大で就職セミナーの講師を務めました。気の早いことにスーツ姿の学生もちらほら混じった教室は、200人を超える参加者があり、立ち見も出る大盛況。就職難で、学生の危機意識が高いことが見てとれました。
そんな大学3年生秋の風物詩が、もしかするとなくなるかもしれません。商社の業界団体である日本貿易会が、2013年春に入社する大学新卒者から、採用活動時期を4年生の夏以降に遅らせる方針を固めたからです。
貿易会では、日本経団連に倫理憲章の見直しを要請するということで、影響力の大きい業界ですから、これがルール化されて産業界が足並みをそろえる可能性は十分にあると思われます。
大学3年生の秋からスタートして、年末から会社説明会が本格化。3月まで会社訪問、OB訪問などにフル活動し、多くがゴールデンウィーク前後までに内々定を獲得するというのが、いまの就職活動の一般的なスケジュールです。