大学3年までは、じっくり学業に取り組む。また、留学をするなど、自分の殻を破り、スキルアップする努力をする。いまは3年生の夏休みが主流であるインターンシップも、夏休みだけではなく、3年生から4年生にかけての春休みなどに機会が広がることになるでしょう。企業としては、会社説明会以外にも接点を広げることは可能です。つまり、採用側のプロモーションも多様化し、学生の選択肢を広げるような方向に変わっていくと思われます。

 同時に、その時間的余裕を、大学側は社会や経済に目を向けさせ、自分の志望を真剣に考えるきっかけになるようなキャリア教育のプログラムを提供するようになるはずです。

 いま大学は、文部科学省の指導によってキャリア教育を充実させるさなかにあります。大学に入りたての、1年生から就職に対する意識づけのための授業やセミナーを実施する大学も珍しくはありません。それも、程度問題でしょうが、焦りすぎ、煽りすぎ、という気がします。

 そのような取り組みは、大学3年生の秋から始まるという、現状の就職活動を前提としたものですが、その前提を変えてしまおうという産業界からの働き掛けは、大学生が地に足のついた活動によって、無理なく就業意識を成熟させるチャンスだと言えるのではないでしょうか。

 企業の採用活動は4年生の夏以降の短期集中型になる分、それまでの助走期間を充実させることが、就職における大学格差につながっていくことになるでしょう。うまくプログラムを構築すれば、大学4年生の就職活動スタート時には、かなり「機が熟す」感じになっているのではないでしょうか。

 10月に入って学生が一斉にゲートイン。ゲートが開くとやにわに全力疾走しなければならないものの、本当のところ自分が何になりたいのか分かっていない…。でも、自己分析やら、志望動機やら、やらなければならないことが一気に降りかかってくる…。

 その前に、少しじっくりと考えるべきこと、知るべきことがあるのではないでしょうか。