パナソニック 正念場#7パナソニック コールドチェーンソリューションズ社とパナソニック 空質空調社の社長を兼務する片山栄一氏 Photo:kyodonews

パナソニックで家電事業が苦境にあえぐ中にあっても、BtoBで冷蔵庫などを手掛けるコールドチェーン事業は海外M&Aを通じて成長を続けている。だが、この事業は市場環境が厳しさを増している上、収益性で他社の後塵を拝している。特集『パナソニック 正念場』の#7では、パナソニックのコールドチェーン事業の“勝ち筋”を究明するとともに、同事業が抱える課題に迫る。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

家電不振でブランド力低下が続くパナソニック
業務用冷蔵庫などコールドチェーン事業は急成長中

 パナソニックブランドを支える家電が苦境にあえいでいる。家庭用の冷蔵庫や洗濯機といった消費者向け製品が伸び悩んでいるのだ。

 パナソニック ホールディングス(HD)の楠見雄規社長は、今年2月の会見の中で「家電事業は、海外のみならず国内でも競争が激化しており、相対的に競争力が低下傾向にある」として、家電を再建事業に位置付けると発表した。

 一方、家電をはじめとしたBtoCビジネスの苦戦を尻目に、一部のBtoB事業は成長を続けている。その一つが業務用冷蔵庫やショーケースなどを手掛けるコールドチェーン事業だ。売上高は家電を扱うくらしアプライアンス社の半分にも満たないが、2015年に米産業用冷蔵庫メーカーのハスマンを約1854億円で買収するなど海外での積極攻勢が奏功し、成長を続けている(下図参照)。

 この事業を担うのは、グループ会社のパナソニック(株)傘下の事業会社の一つ、コールドチェーンソリューションズ(CCS)社だ。同社はコロナ禍でも顧客ニーズに合った商品(次ページで詳述)を出すことで、ピンチをチャンスに変えてきた。

 しかし、ここにきてコールドチェーン事業は壁に直面している。「コロナ後の“新規出店特需”が一段落してしまい、市場環境は厳しくなっている」(業務用冷蔵庫を扱う商社関係者)という。

 加えて、CCS社の収益体質も不安材料だ。次ページの表で見るように、競合他社に比べて稼ぐ力が著しく低いのだ。

 さらに、CCS社にもグループ再編の波が襲い掛かる。事業会社の統合やリストラが、今後の成長に支障を来さないのかも気になるところだ。

 次ページでは、パナソニックのコールドチェーン事業の“勝ち筋”を究明するとともに、低収益性に苦しむCCS社の課題に迫る。