AUVSIの自動運転シンポジウムは7月19日から21日まで、サンフランシスコで行われた Photo by Kenji Momota

昨年比で1.4倍の1200人を集客するも…
会場内では「慎重論」が主流に

 「昨年までの、イケイケの雰囲気はなくなった」
 日系自動車メーカーの先進安全技術の開発幹部はそう漏らした――。

 自動運転に関する世界的なカンファレンス「AUVSI オートメイテッド・ヴィークル・シンポジウム」(2016年7月19~21日・米カリフォルニア州サンフランシスコ)には、世界各国の自動車メーカーや政府関係者など、昨年比の1.4倍となる1200人が集まった。

 AUVSIは、米国防総省とのつながりが強い、飛行機・船舶・陸上移動体における自動操縦を議論するための団体。近年では、ドローンに関する米国内の法規制に対して、強い影響力を持ち、AUVSI主催のカンファレンスで米航空局(FAA)長官がドローンに関する法解釈について発言することが多い。

 さらに、5年前からは毎年1回、乗用や商用の自動運転車を対象としたシンポジウムを開催している。その背景には、グーグルや中国の百度(バイドゥ)など大手IT企業が自動運転車の領域に参入し、それに対抗するため自動車産業界も自動運転の研究開発を強化する動きがある。

 また、自動運転の歴史を振り返ると、米国防先進研究開発局(DARPA)が2004年・2005年に主催した自動運転の賞金レース「DARPAグランドチャレンジ」と、2007年の「DARPAアーバンチャレンジ」では、AUVSIとその前身となる団体が深く関与している。

 そのため「AUVSI オートメイテッド・ヴィークル・シンポジウム」は、世界市場における自動運転の最新動向が把握できる場として、世界の注目が集まっているのだ。

 そうした自動車・IT業界での自動運転に対する熱い想いとは裏腹に、今回のシンポジウムは昨年までの上昇機運はなくなり、「再調整」「すり合わせ」「仕切り直し」「見直し」「慎重」といった言葉を連想させる雰囲気が会場内に漂っていた。