7月23日から中国・成都で開幕したG20(主要20ヵ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議では、英国のEU離脱による世界経済への悪影響をどう封じ込めていくかが最大の議題となり、世界経済の成長へ向け「金融や財政、構造改革の政策手段を総動員していくことで合意、再確認して、共同声明を採択し、閉幕した。

 IMF(国際通貨基金)のラガルド専務理事はG20の開幕に先立つ記者会見で、「英国のEU離脱は世界経済に対し、不確実性を増した。すべての政策決定者が直ちに、政策を協調して、その悪影響を封じ込めていくことが先決である」と訴えた。議長国である中国の楼継偉財務相も「世界経済への影響は巨大で、長引く。英国にとってはその影響は5年、10年と続くだろう」と警戒感を強めながら、離脱ショックの緩和へと世界を挙げての協調を呼びかけた。

 共同声明では、「将来的に、英国がEUの緊密なパートナーである姿に期待する」として、EUとの連携維持を英国に求め、英国とEUとの離脱交渉が世界経済のかく乱要因にならないよう、釘を刺した。これに対し、英国のハモンド財務相は「今年後半には離脱交渉の基本方針が具体化」して、EU側の加盟各国の間でも好意的な反応が広がれば、「市場にも安心感を与えられる」との見方を示唆、理解を求めた。

無責任で詰めの甘い意思決定
政治リスクを増幅させた「3つの罪」

 それにしても、今回の英国発のEU離脱騒動で、日増しにわかってきた悲喜劇がある。英国のエリート層による意思決定プロセスがいかに無責任で、詰めが甘い杜撰な判断と軽率な対応で処されてきたか、ということだ。そのお粗末な立ち居振る舞いのために、こんなはずではなかった思惑違いの政治リスクをまき散らしてしまったのではないか、と断じたい。

 キャメロン前首相が公約した国民投票の実施をはじめ、EUとの離脱交渉で最大の争点となる「移民の流入」と離脱か残留かの二者択一との間にどんな相関関係があるかという実態把握、歴史的にも移民を抜きには成立しない英国経済の実態と移民依存度の現状分析など、事前に詰めて然るべき議論は甘いままだった。つまり、離脱か残留かの判断に必要な中立、客観的な情報やデータを英国民に提示することなく、感情に訴えるエモーショナル・キャンペーンで離脱か残留かの結論を迫った手続きは、今にして思えば無謀であった。洗練されているはずの英国のエリート層に自信過剰な過信と慢心による脇の甘さが蔓延しており、結果として政治リスクを徒に増幅させた罪は深く、その責任は重大である。