「一流」とされるビジネスリーダーたちは、どんな家庭教育を受けて育ってきたのか?そんな疑問から実施されたアンケート調査をもとに、真の教育のあり方を論じたベストセラー、『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』
本連載では、著者の一人であるムーギー・キムさんが、さまざまな業界の第一人者との対談を通じ、「一流の育てられ方」の教育方法が、各界で活躍するビジネスリーダーの「幼少期の育てられ方」および、「ビジネスでの人材育成論」と本質的に同じであることを、明らかにしてきました。
今回、ムーギーさんと対談するのは、ベンチャーキャピタリストとして「日本発世界へ!」を掲げて活躍されている、高宮慎一さん。
「ナナピ」や「ランサーズ」、「メルカリ」といった名だたるベンチャー企業の起業家たちから信頼され、国内での成長だけでなく海外展開もサポートする「一流の投資家」は、どのように育てられてきたのか?ムーギーさんが切り込みます。(構成:田中裕子)

リーダーたちの「育てられ方」の共通点

 さて、本日は『一流の育て方』グローバルビジネスリーダー・インタビューシリーズ第6弾。著名なベンチャーキャピタリストである高宮慎一さんにお出ましいただく。

 ベンチャーキャピタリストとして国内外で活躍されているいっぽう、『一流の育て方』に書かれていた育て方の多くが、ご自身のご両親から受けた育てられ方と同様であったと語る高宮氏であるが、今回の対談前編の8大要点を以下にまとめさせていただきたい。

 その内容は一見、高宮氏の個別論だが、『一流の育て方』で紹介されている「世の中のリーダーたちの育てられ方」と非常に共通点が多く、本質的に重要な「人の育て方」であることを見て取っていただけるであろう。

1.高宮氏は幼少期の海外生活で日本語に飢えていたので、親の読書習慣もあいまち、本の虫になった。

2.帰国子女でも日本語に苦手意識なく使いこなせるのは、この海外での読書習慣のおかげ。

3.子どもだけだと思いもつかないような選択肢を、大人が見せてあげることが大切。

4.人を育てるうえで、自主放任と放置プレーは異なる:「ホンモノ」を見せよ(お子様ランチばかりではなく、たまには寿司屋のカウンターに座らせる)。

 これに加え、高宮氏が受けたイギリスやオランダでの教育と日本での教育の比較から、

5.日本の学校教育の強みと弱みについても、論じている。

 また、

6.ハーバードMBAに留学することで得た、「世の中の相場観」「世界の中での、相対的な自分の位置づけへの理解」。

 そして、いま流行りの、

7.「グローバルに働くこと」の意味合いが、かならずしも「日本を離れて海外で働くこと」ではないという悟りについても、興味深くご理解いただけるであろう。

 さらに最後に、

8.東大、コンサル、ハーバードと一見輝かしいキャリアをもつ高宮氏が抱いてきた、帰国子女としてのコンプレックスが語られ、その気になる脱却プロセスは対談後編で語られる。

 なお、ここまで要約を読んだからといって、以下の対談詳細を決して読み飛ばしてはならない。読後のインスピレーションは言葉の細部に宿るのであり、私自身、高宮氏から非常に多くのことを学ばせていただいたのだから。それでは対談の本編をご覧いただきたい。