犯行直前のU容疑者
「メシは食えていた」のか?

 まず、犯行直前のU容疑者の財布の中身は、どうだったのだろうか? おそらく、手持ち金は極めて少ない状況だったのではないかと推察される。

 経済状況に関係する事実を、報道から拾い出すと、以下のようになる。なお、障害者施設の給料日は不明なので、一般的な「26日」とした。

2016年2月19日 措置による精神科入院、障害者施設を自己都合退職
2016年2月26日 給与の支払い
2016日3月2日  措置入院が解除され退院
2016年3月24日 生活保護を申請、即日、保護開始
         3月分の保護費(生活費分)は、8日間分の20100円
         (親の持ち家に居住していたため、家賃補助はない)
2016年3月26日 (最後の給与の支払い?)
2016年4月3日  生活保護費支給(4月分の生活費 78000円)
2016年4月(日付不明) 1回目の失業手当支給
2016年4月30日(?) 生活保護打ち切り、4月分の生活保護費は返還(朝日新聞報道による)
2016年5月    2回目の失業手当支給
2016年6月    3回目の失業手当支給
2016年7月26日 犯行

 U容疑者の月給は、手取り18~19万円だったということだ(毎日新聞報道による)。

 やや気になるのは、U容疑者の元職場の月給計算の締め日だ。締め日が15日か20日かで、3月26日の給与振り込みの有無が異なってくる。極めて細かいことではあるが、「貧困」または「貧」や「困」があるとき、わずかな収入の「ある」「ない」は、本人の精神状態に大きく影響する。

 ここでは、3月26日の給与振り込みはなかったものとする。というのは、生活保護は3月24日に開始されているので、26日に収入があれば収入認定されて返還処理の対象になっているはずだからだ。しかし、最後の月給と生活保護の関係は、全く報じられていない。もしも10日締めであったとすれば、3月26日、U容疑者には最後の月給として手取り2~3万円程度が支払われたはずであるが、社会保険料を差し引けば、手取り分は極めて少額、もしかするとマイナスとなっていたかもしれない。

 ついで気になるのは、離職から2ヵ月後の2016年4月、U容疑者が失業手当を受け取ることができ、生活保護打ち切りとなった理由である。U容疑者自身には「事実上のクビ」と理解されていたようであるが、自己都合退職である以上は90日間の待機期間がある。特定受給資格者扱いとなっていたのかもしれないが、該当しそうな項目が見当たらない。また、障害者手帳を取得していなかったU容疑者には、「就職困難者」として基本手当300日分を受給できた可能性もなさそうだ。なお、失業手当の月額は、私の計算では約15万円となる。

 いずれにしても、自己都合退職であれば、U容疑者が失業手当を受給可能だった期間は90日間である。もしも失業手当を受け取り始めたのが4月25日であれば、最後の失業手当の受け取りは6月25日に行われ、7月の収入のメドはなかったはずだ。