「今日はダメ」とはっきり断った後で、ちゃんと断りの理由を伝えておけば、お互いに気持ちよく会話を終わらせることができます。また、最後に「残念だけど、また誘ってくれよ」と一言つけくわえることで、「本当は行きたいんだよ」というメッセージを伝えることができますから、お互いの関係がおかしくなることもありません。

口ベタを克服できたときこそ
「自分を見失わない」ように気をつけよう

 連載第10回からトレーニングをやってみて、コミュニケーション力を養うためのヒントを見つけることができたでしょうか。

 トレーニングの最後に、私から読者のみなさんへ3つのヒントを差し上げたいと思います。

(1)周りの人にフィードバックしてもらう

 コミュニケーション力は、自分の力だけでなく、周りのサポートを得ることでさらに磨かれていきます。ですから、コミュニケーション力のトレーニングをはじめたら、ときどき、周りの人からフィードバックしてもらうとよいでしょう。友だちや同僚などに「最近、コミュニケーションの取り方を工夫しているんだけれど……」と感想を聞いてみましょう。

 このときに注意したいのは、否定的な意見を口にすることが多い人、批判的な意見を言うことが多い人は避けることです。重箱の隅をつつくように、何でも細かく批評する人がいるものですが、そういう人からのアドバイスは、かえって自信をそこなうことにもなりかねません。

 自分のよさを認めてくれて、自分の身になってアドバイスをしてくれる人を選びましょう。

(2)話し上手な人に巻き込まれない

 2つめは、話し上手な人とのつきあい方についてです。

 話し上手な人は、自然と、その場の会話を仕切り、舵取りをします。口ベタだったときなら、黙ってその場の流れを見守っていたしょう。でも、せっかくトレーニングを積んで、話せるようになったのですから、自分も発言してみたいと思うのが人情です。

 ここで気をつけておかないと、話し上手な人のペースに完全に巻き込まれてしまいます。発言しようとしても、自分のペースを乱されてしまって、思うように会話の流れに乗れず、発言できないことがあるかもしれません。そうなってしまうと、「やっぱり私は口ベタなのかな……」と解消したはずのコンプレックスが頭をもちあげてきます。

 そうならないためには、話し上手な人のペースに無理に合わせようとしないこと、会話の流れを無理にコントロールしようとしないことです。

 コミュニケーションは勝負ではありませんから、どちらが話の主導権を握るかなど問題ではないのです。あくまでも、自分のペースを保ちながら、相手の話に耳を傾け、自分らしいコミュニケーションを維持していきましょう。