他の台湾料理店では出してない料理を提供

 店主は元々、主婦だったが、日本に来て台湾料理屋へ行った時、「この味ではない」と思った。

「商売優先の味でした。本来の台湾家庭料理はお客さんの笑顔のための料理。おいしくて安くないといけない。それに、やさしい味でないといけない。私は台湾家庭料理が好きだから、横浜中華街の店で修業することにしました」

 彼女は中華街の台湾料理店「生福園」に入って、家庭の味を学んだ。そして、東日本大震災の後、生福園は元住吉に移転する。さらに、シェフが「他へ行く」と出て行ってしまったので、彼女が新しい店に衣替えすることにした。

 いまでは彼女がオーナーシェフであり、会社帰りの夫、小学生の長男が時々、サービスを担当している。店主は言う。

「うちの特徴は、他の台湾料理店では出していない料理を作っているところ」

 たとえばサツマイモの葉っぱのにんにく炒め(1200円)がそれだ。食べてみると、くせのない味の菜っ葉で空芯菜に似た味がする。台湾の新竹では「夏になると出てくる料理で、サツマイモの葉っぱには食物繊維が豊富」とのこと。スタミナ食であり、健康食だ。

 トマトと玉子炒めもいわゆる台湾料理店のそれとは少し違う。とにかくトマトの量がけた違いに多い。そのため、トマトの汁が皿にあふれんばかりになっている。食べる時は「ご飯の上に汁と具を一緒に」かけるとおいしい。

 鴨の舌のしょうゆ煮込みは子どもにはおやつであり、お父さんにとっては酒の肴だ。鴨の骨についている身を歯でこそげ落としながら食べる。お父さんはビールもしくは台湾酒を飲む。子どもは麦茶だ。

 他に、お父さんのつまみになるのが、にんにく肉(1000円)、臭豆腐(1000円)。にんにく肉は皮つき豚肉をゆでたものをスライスしてある。臭豆腐は自家製の厚揚げだけれど、独特の風味がある。台湾の屋台料理によく見かけるものだ。

 また、台湾料理でないけれど、人気があるのが、この店のオリジナルのミルク麺(1000円)。エバミルクをスープに溶かし込んだ麺料理で、名前からはマイルドな味を想像してしまうが、実際はものすごく辛い。それでも、ついついチャレンジしたくなる。

 もちろん、シジミのしょうゆ漬け、切り干し大根卵とじ、台湾腸詰、ビーフン、チャーハンといった定番料理もある。