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PS3の反転攻勢が始まる!?
4年越しの年末商戦に賭けるソニー

石島照代 [ジャーナリスト]
【第6回】 2010年10月22日
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 体感型ゲームの市場が事実上形成されたのは、任天堂が2006年にWiiを発売してからと言っていいだろう。体感型ゲームはホームパーティー文化が根づく欧米でウケが良く、任天堂は「Wii Sports」シリーズや「Wii Fit」シリーズなどで、全世界で1000万本を越える大ヒットを連発している。だが、その一方で、Wiiでは任天堂製ソフト以外のソフトが日本国内で売れない状況が続き、各ソフトメーカーとも体感型ゲーム機市場攻略に手を焼いているのが実情だ。

 とすれば、ムーブビジネスは大丈夫なのだろうか。それについて、池尻氏は次のように語る。「仮に体感型ゲーム機市場が2006年から始まったとして、まだ4年ですよね。 私はこの分野のアイデアはもっとたくさん出ると思いますし、技術の進化は驚くほど早く、出来る事が年々増えている状況です。新しいインターフェイスと直感的な操作という組み合わせは、ゲームに限らず活かせるシーンが多分にあるでしょう。 ビジネスチャンスは大きいと思っています」。

 確かに、体感型ゲーム市場は、業界人の常識が通じない性質がある。つまり、何が起きても不思議ではない市場だと言うことだ。たとえば、Wii初のミリオンセラーはハードと同時発売された「Wii Sports」だが、国内ミリオンセラーになるまでの期間は2ヵ月半であり、当時の市場規模は150万台しかなかった。

 これは、PS2の状況と比べると、かなり異質である。PS2初のミリオンセラーはカプコンの「鬼武者」だが、ミリオンセラー達成までに要した期間はPS2発売後から約一年であり、確認時のハード出荷台数は465万台だった。この465万台というのは、「ある特定地域(日本、北米、欧州など)において、500万台規模の市場がないとビジネスが成立しない」という業界セオリーを証明している。

 したがって、池尻氏の言うとおり、アイデア次第でムーブでもいきなりミリオンセラーがでる可能性は十分あるし、ましてやPS3はすでに国内に500万台規模の市場があるので、従来のゲームソフトを作ってもPS2の時のようにミリオンセラーが続出する可能性はあるということになる。つまり、PS3はビジネスができるところまで、環境が整ったということだ。この状況がチャンスとなるか、それとも時すでに遅しなのか。その結果が出るのは、そう遠いことではないだろう。

※(おことわり)PS3、PSPの出荷台数はいずれも、2010年6月現在の公式発表による。WiiとPS2のミリオン確認時のハード台数は、達成確認時の一番近い時期の公式発表に基づく。また、任天堂は販売台数を、ソニーは工場出荷時台数を発表するのが恒例で、今回の原稿の数字はいずれも両社の発表形式に従っているが、トルネは実売数が公表されているため、その数字を採用した。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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