総予測2026トランプ米大統領(右)と握手をするファイザーのアルバート・ブーラCEO Photo:CNP/時事通信フォト

米国の二つの政策によるダブルパンチで、大手製薬は2026年も難しいかじ取りを迫られる。特集『総予測2026』の本稿では、日本の大手製薬に差し迫った難題の詳細、影響があり得る企業や大型開発品、世界第4位の日本市場で起こり得る最悪のシナリオを解説する。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

目下の関心事は相互関税より
医薬品価格の最恵国待遇政策

 米国の関税強化と医薬品価格の最恵国待遇(MFN)政策のダブルパンチで、大手製薬は2026年も難しいかじ取りを迫られる。

「魔法の瓶の中から魔法使いが出てきてしまいました。でも、対応するしかありません」

 25年11月中旬に来日して記者会見した米ファイザーのアルバート・ブーラCEO(最高経営責任者)は、米政権の政策をそう評した。

 日本の経済界は米トランプ政権が繰り出すさまざまな政策にきりきり舞いだが、実は製薬業界では相互関税への関心はやや下がっている。米国で工場建設中の場合は関税が免除されたりするからだ。

 目下の関心事は、MFN政策。米国における医薬品価格を他の先進国と比較して最低水準に引き下げる内容だ。

 この政策は米国民を利するものだが、裏を返せば「これまで米国民は高い薬価を負担して、世界の製薬会社の研究開発投資を回収させてきた。ただ乗りするな、他の先進国も負担せよ」ということだ。

米トランプ政権の政策は、日本の製薬会社にどのような影響があるのか。日本の医薬品市場に訪れる最悪のシナリオとは何なのか。次ページで詳述する。