オリンピック、パラリンピック大会の選手や来場客をサポートし、大会を支えるもう一つの顔、それがボランティアだ。4年に一度の祭典に欠かせない貴重な存在で、2016年リオ五輪でも約5万人いると言われているボランティア。「2020年東京五輪でボランティアをしたい」。そう話す人が増える中、大会ボランティアに関する情報は驚くほど少ない。 この連載では、日本語、英語(米、英、豪)、中国語、韓国語、スペイン語、トルコ語、タイ語、マレー語の8カ国を話すマルチリンガル・新条正恵が、実際に大会ボランティアとして、2016年リオ五輪に参加、現場から日々の様子をレポートする。

募集締め切り後に誘われた
通訳ボランティアの仕事

「オリンピックボランティア、すごく楽しいですよ。マサエさんも一緒にリオに行きましょう!」

 今年知り合ったばかり友人が、過去に2回オリンピックボランティアを経験していると聞いたのは、4月初めのこと。ランチをご一緒した時に、2016年リオ五輪大会のボランティア参加を誘われたものの、すでに受付は、2014年に募集を締め切り済みだった。

 しかし友人曰く、日本人の通訳ボランティアは毎大会、人手不足になるので「直前の申し込みでも、大丈夫」。

 そこで、誘われたその日に早速、リオ2016ボランティア用のポータルサイトで登録をすませた。

 ポルトガル語と英語にしか対応していないポータルサイトでの登録は、英文履歴書を作成するプロセスと同じ。過去にどんな仕事をした経験があるか、医療・語学・IT・ドーピング検査など特別なスキルはあるか、希望の会場はあるかなどの質問に選択式で選ぶのだが、それでも登録まで1時間はかかる。英文を読むのが得意でない人であれば、これだけで骨が折れる作業だろう。