移動の多いこの季節。エコノミークラス症候群を侮ってはいけません

 この4月の熊本地震では多くの命が奪われたが、せっかく地震そのものから逃れられた避難者の間で、車中泊を余儀なくされた人たちを中心にエコノミークラス症候群が多発し、中には命を落とされた方もいたことは記憶に新しい。

 エコノミークラス症候群とは「静脈血栓塞栓症」のこと。これは血栓が肺の血管を詰まらせてしまう「急性肺血栓塞栓症」と、足や下腹部の静脈に血栓ができる「深部静脈血栓症」の総称である。名称の由来はもちろん飛行機のエコノミークラスで、1980年代に広く知られることになったという。

飛行機以外で発症する恐れも
意外と見落としがちな“初期症状”

 もちろん飛行機のエコノミークラスの乗客だけでなく、ビジネスクラス以上の乗客や、車の長距離運転手なども発症するため「旅行者血栓症」とも呼ばれている。ただし「旅行者血栓症」でネット検索すると「旅行者血栓症(エコノミークラス症候群)」などと説明されていることが多いうえに、「ロングフライト症候群」という飛行機での発症を前提としたであろう名称も定着しつつある。航空会社のクレームは(あったとしたら)効かなかったようだ。

 飛行機にせよ他の乗り物にせよ、家庭や会社にせよ、長時間狭い椅子に座ったままの状態を強いられると、エコノミークラス症候群の危険が高まる。足の血流が悪くなり、静脈の中に血の塊(血栓)ができることがあるのだ。この血栓が歩行などをきっかけに足の血管から離れ、血流に乗って肺に到達すると、肺の動脈を閉塞してしまう。

 肺の働きが悪くなることによる初期症状は、太ももから下の脚に発赤、腫脹、痛みなどが現れること。厚生労働省はこのような症状が発生したら急いで医療機関を受診する必要があるとしている。さらに胸痛、呼吸困難、失神等の症状が出現すると、非常に危険な状態だ。さっきまで普通に会話していた人がいきなり苦しみ出すのだから周囲もパニックである。