陥りがちな思考の罠に迫る「カイゼン!思考力」。今回は、手続きルールの悪用を取り上げる。

――問題です

 以下の議論の問題点は何でしょうか

 ある会議における議論。

Aさん「ということで、この議論については、Bさんのグループの主張より、私たちの主張の方が妥当性があることは明らかですね」

Bさん「…」

Aさん「Bさん、そして他の方もよろしいですね。では、今回はこちらの案でいきましょう」

Bさん「待った」

Aさん「何でしょう?」

Bさん「今回の進め方に疑義がある」

Aさん「進め方、ですか?」

Bさん「ああ、この手の案件については、規則では、本社からのオブザーバーの参加が必要要件のはずだ」

Aさん「確かに、四角四面にルールを適用するとそうかもしれません。しかし、最近ではほとんど実際にはそんなことをしていませんし、費用対効果を考えると、現実的なプロセスとは思えませんが」

Bさん「それは単にルールがなし崩し的になっていただけだ。今回はしっかりと本社のオブザーバーにも入ってもらうことにしよう。それがルールだ。ルールを無視したところで出した結論に効力はないはずだ」

Aさん「…」