ポケモンGOはブラジルでも大人気。日本から持ってきたピカチュウの被りもので歩いていると、テレビカメラや各国の観客から写真撮影を頼まれる

8ヵ国を話すマルチリンガル・新条正恵が、2016年リオ五輪に通訳ボランティアとして参加。4年後の東京大会でボランティアでの参加を考えている人たちのために、五輪ボランティアの仕事について現場から日々の様子をレポートする。第8回は、開幕4日目訪れた初めての休日の話。

大会中は毎日がオリンピック

 オリンピックボランティアなので当然なのだが、期間中は毎日がオリンピックだ。もちろん、お休みの日もオリンピック観戦である。

 開幕4日目は休日だったので、テニス2回戦の試合を見に行った。勤務表が7月初めにマネージャーから送られてきていたので、休日に見たい種目の観戦チケットをあらかじめ購入していたのだ。

 いつもはスタッフとして利用するオリンピック専用バスを降りると、案内係のボランティアスタッフが「ボンジーア、ボンジーア!ハロー、コニチハ、ボンジョルノ」といろんな言語の「おはよう」で出迎えてくれた。案内スタッフは大きな矢印を持ち、音楽をかけてダンスしながらだったり、ポルトガル語と英語で交互に「リオ2016へようこそ!」と笑いかけながらだったり、楽しそうに会場まで案内してくれる。

 この案内係のスタッフは“おもてなしの心”が素晴らしくて、いかにも外国人の私が立ち止まってキョロキョロしていると、走ってきて「どこに行きたいの?」とポルトガル語で聞いてくる。英語で私が行きたいところを告げてもちゃんと理解して、ポルトガル語でとても丁寧に行き方を説明してくれるのだ。

 実はこの”おもてなしの心”はオリンピックパーク内だけではなく、リオ市内の一般人でも同じ。開幕前のニュースでは、リオの治安、ジカ熱、工期遅れなど懸念要素ばかりが取り沙汰されていたが、オリンピック開催中のリオは意外と安全。蚊もほとんどいないし、会場もなんとか間に合った。そして、人がとても優しい。

 4年後の東京でもこの”おもてなしの心”をしっかりリオから引き継ぎ、世界中の人たちに日本の心をしっかり伝えたいと思う。