シリコンバレー、戦略コンサル他、世界の最前線で、超一流は何をしているのか?
答えは「Bullet Points(ブレットポイント)」と呼ばれる“箇条書き”によるコミュニケーション。
箇条書きは、英語や会計、そしてロジカルシンキングと同じくらい世界的に求められているスキルなのだ。メール、プレゼン、企画書・報告書、議事録。あらゆるシーンで活用されている。最新刊『超・箇条書き』の著者、杉野氏にその詳細を語ってもらう。
たった1つの
とても大きな違い
これまでの連載で「イントロで引き込む」「固有名詞を使う」という箇条書きのテクニックを紹介してきた。
この2つの共通点は、相手のコンテキスト(文脈)を踏まえて、全体の流れをつくるということ。相手の置かれている状況に合致するからこそ、相手は関心をもって最後まで読み切ってくれる。だから、短くても魅力的に、こちらの伝えたいことが相手に伝わるのだ。
ポイントは、「伝える相手や相手のコンテキスト(文脈)をとことん考え抜いているか」ということ。
箇条書きとは、相手に伝えるものであり、相手を想定する必要がある。「イントロで引き込む」「固有名詞を使う」のいずれにしても、相手がどんな人で、何に関心があり、どんなコンテキストに置かれているかを想定しなければならない。
世の中には、相手をイメージせずにつくられた箇条書きが溢れている。それらは相手がイメージされていない以上、相手を惹きつけることができるかどうかは運任せだ。
繰り返す。箇条書きをつくるときには、相手とそのコンテキストをとことんイメージすることが必要だ。それによって、相手を惹きつける流れを相手任せではなく伝え手の責任でつくるのだ。
プレゼンの際、箇条書きで伝えるときには、聞き手はどのような人たちなのか、参加者名簿があれば、それを確認してイメージするとよい。そして、何に関心がありそうで、何に関心で、どんな様子でプレゼンを聞こうとしているのか。
たとえば、社内会議にて、社内の特定の部門の長たちを相手に、コスト削減を依頼するプレゼンする場合はどのような箇条書きがよいか。
次の箇条書きを見てほしい。相手をイメージせずに、“自分の言いたいこと”だけを一方的に伝えるプレゼンの典型だ。
・景気は悪化していて売上が伸び悩んでおり、収益は悪化している
・景気が持ち直すまで、各部署によるコスト削減が必要である
相手をイメージしていないため、一般名詞が多い。そのため、直観的には自分のこととして入ってこない。これでは一般的なきれいごとにしか聞こえず相手の頭に残らないだろう。
ここで、実際にその社内の特定部門の長の顔をイメージし、箇条書きをつくるとどうなるだろうか。自社名を敢えて固有名詞で入れて、自分ごととして認識してもらう。そして、相手の部門長の顔をイメージして、それらの部門の固有名詞を入れるのだ。