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引きこもる人が何とか社会につながったとしても、自立後の課題が立ちふさがる。
引きこもり経験のある京都府在住の「たなかきょう」さん(芸名、40歳)は現在、月18万円ほどのNPOで働く傍ら月に4~5回、ライブ活動を行っている。ライブの収入は、年に50~60万円くらいだ。CDも出している。
元々、たなかさんは、ライブハウスに行けるようになったことがきっかけで、社会に出られるようになった。
26歳から4年間、電車にも乗れない
原因は幼少期の両親に?
18歳の頃から断続的に引きこもってきた。本格的にこもったのは、26歳のときから4年間。壁から声が聞こえるような気がした。皆が見ているような気がして、怖くて電車に乗ることもできなかった。自分でも「引きこもっているんだな」と感じた。
自分が引きこもったのも、幼少期の父親が原因だったと思っている。
「期待してくれてたんでしょうけど、“できへんかったら死んでしまえ”などと殴られました」
父親には、しんどいとき、わかってほしかった。一般論で「これが正しい」と理論をすり替えるのではなく、もっとありのままの感情論を聞けたら良かったなと思う。
母親も「あなたのためだから」とよく口にした。自分のためでいいのに、自分のために、とは言ってくれなかった。
だんだんと自分を追いつめている感じがあった。聞こえてくるような気がしたのは、自分の声だったのかもしれない。ただ、自分の中でずっと闘っているように思えた。
「なんで生きてるんだろう?」
死ねないことがつらかった。子どもの頃から、存在感の薄さを感じていた。
きっかけがあれば、死にたいと思った。でも、何もできなかった。
「それなら、もういいや、できなくてもいいから、やりたいことをやろう」