「うがい薬買い占め」で露呈する、日本の学校教育の致命的欠陥吉村洋文・大阪府知事の発言を受け、うがい薬の買い占めが起きている。なぜこんな話を真に受けるのか Photo:Diamond

今度は「うがい薬」に殺到
なぜ真に受ける人が多いのか

「免疫力をアップさせてコロナに効くらしい」と、品薄になった納豆に続いて、今度は「うがい薬」が店頭から消えてしまったようだ。

 大阪府の吉村洋文知事が、府内の新型コロナ患者にポビドンヨード入りうがい薬を使用したところ、唾液からウイルスが検出される人が減ったと発表したことを受けて、もはや風物詩になりつつある「買い占め」が起きてしまったのである。

 パニックぶりは、ドラッグストアだけにとどまらない。メルカリでは「うがい薬」が高額転売されたほか、うがい薬の製造販売をしている明治ホールディングスの株価は年初来高値を叩き出した。この調子でいけば、「コロナウイルスを撃退!ポビドンヨード入りサプリメント」などという怪しげな健康食品が登場するのも、時間の問題だろう。

 という話を聞くと、「なんでこんな話を真に受ける人がいるの?」と首をかしげる方も少なくないのではないか。

 発表直後から、テレビでは研究者が登場して、「対象としている患者数が少なくて医学的根拠にならない」とバッサリやっている。ネットやSNSでも同様に懐疑的な声が多く、吉村知事に対しても「不確かな情報でパニックを煽っている」とボロカスだ。

 にもかかわらず、ドラッグストアへ駆け込んでうがい薬を買い求めるというのは、いったいどういう気持ちなのかと、なかなか理解できない人も多いはずだ。

 もちろん、シンプルに転売目的の人もいるだろう。が、転売の難しい納豆も似たような情報が流れたことで品薄になったことを踏まえると、世の中には「これがコロナに効くらしいよ」という話をノンフィルターで受け入れるピュアな人たちも、かなりの割合で存在しているのは間違いないのだ。

 では、なぜこんなことになってしまうのか。経済分野のエラい先生などは、「本当に効果があるとわかったときに入手できないと困るから、とりあえず買っておくか」という、ゲーム理論に基づく消費者の自然な行動だという。また、日本人は権威に弱いので、公的な立場の人間が言うことは無条件で信頼する、と説明する人もいる。