なぜTwitterの身売り交渉は行き詰まっているのか米国サンフランシスコにあるツイッター本社が入るビル Photo by Noriko Takiguchi

業績悪化で身売りまで追い込まれた
花形企業だったTwitter

 つい最近までSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の花形企業として脚光を浴びていた、Twitterの身売り交渉が行き詰まっている。2013年11月7日の上場時、同社の株価は公開価格を73.5%上回った。

 多くの投資家が同社の将来性に期待し、同年末に株価は73ドル台まで上昇した。しかし、その勢いは長くは続かなかった。Twitterは競争の激化に対応することができず、業績は悪化しついに身売りせざるを得ない状況に追い込まれた。足元の株価は10ドル台にまで下落している。

 ここで注目すべきポイントは、「注目の的」のスター企業であっても、需要者側の速い変化に対応できないと生き残ることができないことだ。スター企業であったTwitterの買い手は、今のところ現れていない。

 当面、買い手の出現、買収見送りなどの観測が、Twitterの株価を左右するだろう。同社の命運は市場の判断にゆだねられ、いわば自力で命運を切り開くことが難しくなっている。

 今日のビジネス環境では、IT化がヒト・モノ・カネの動きを速め、競争は激化している。しかも、強力なライバル企業は次から次へと出てくる。そうしたビジネス環境の変化に対応できないと、たとえトップ企業であってもその座から引きずり降ろされ、企業の存続が危ぶまれる状況に陥る。それが今日の企業が直面する“栄枯盛衰”の法則だ。

 企業が競争に勝ち残るためには、常に、需要者が求める新しいサービスや製品を常に生み出すしかない。アップルでさえ、一時、iPhoneの販売が伸び悩み、成長期待が低下した時期があった。わが国でもシャープが、一時の成功体験にあぐらをかき、その成功を追い求めて過剰な投資を進めた結果、自力での再生と企業の存続が困難になった。

 グーグルやアマゾンなど世界の大手IT企業の経営戦略は、自動車や金融など新しい分野に広がっている。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット化)の流れが加速する中、わが国の企業も積極的に自分自身を変革し、新しい分野へのチャレンジが必要だ。そうした姿勢こそが、経済全体を発展させる原動力になる。

 逆にそうしたスタンスがないと、企業は淘汰され、経済は停滞に落ちこむ。それが、“栄枯盛衰”の法則だ。