ダメ上司と優れた上司の違い、「論語」はこう説く

これまで2000社以上の指導を行ってきた経営アドバイザー・田口佳史氏の新刊書『超訳 論語 「人生巧者」はみな孔子に学ぶ』の中から、ビジネスの役に立つ論語を「超訳」でわかりやすく解説する。今回は、優れたリーダーとダメなリーダーの違いを、孔子に学んでいこう。

えこひいきと派閥作りはいけない

君子は周して比せず。小人(しょうじん)は比して周せず。

優れたリーダーは下の者みんなと平等に対する。えこひいきをしたり、利害関係による派閥を形成したりするのはダメなリーダーのやることだ。(為政第二/30)

 リーダーにとって、自分のいうことを無条件に「はい、はい」と聞いてくれる部下はかわいいだろう。また利害関係が一致する者とは、派閥を形成して権勢をふるいたくもなるだろう。こういったリーダーは、部下を好き嫌いで区分して見るタイプだ。

 しかし、それは“ダメリーダー”の証。自分とは意見の異なる者を退けるなどして、組織内に馴れ合いの人間関係を蔓延させてしまうからだ。

 優れたリーダーは公平にみんなを受け入れ、さまざまな考えに耳を傾けながら公正な判断をする。えこひいきをしないから、派閥抗争や馴れ合いが生じることもない。異質だからと排除されないから、部下たちは自由に発言できる。

 そんな優れたリーダーが率いる組織には、開かれた人間関係があり、常に生き生きとした精気に満ちているのである。