既存製品の延長線上にある新製品や新サービスの開発は次々と実現できるのに、まったく新しいコンセプトの製品を開発したり、既存製品を破壊するようなイノベーションを起こすことができないと悩む企業は多い。その企業に優秀な人材と多種多様な知識、経験が蓄積されているのにもかかわらず、である。

 この答えとしてイノベーションのジレンマが有名だ。既存の市場と顧客のニーズへの対応に集中し過ぎることにより、新しいニーズを見失い、イノベーションができなくなることをいう。

 しかし、新たな市場や顧客ニーズを見据えたイノベーションチームを社内につくっても、イノベーションを起こすのが難しいことの方が多い。それはなぜだろうか?

 答えを先に言えば、その理由は「同調圧力」にあると考えている。イノベーションを起こそうとする人たちに対する、既存組織や周りの環境からの、変化させまいとする圧力である。

 同調圧力は「場の空気」と言い換えることができる。「集団の一員であり仲間としての自分」という自覚を持ち行動すべきという暗黙の了解であり、行動規範のようなものだ。