米中の旗Photo:PIXTA

「新冷戦」演説から1年
対決姿勢を一部修正

 米中貿易協議の「第一段階の合意」に対する期待が高まっているなか、トランプ政権の今後の対中政策を予想するに当たって示唆に富む2つの重要な演説が行なわれた。

 10月24日、マイク・ペンス副大統領がワシントンで行った「抜本的再編に向けての対中関係(Fundamental Restructuring of Our Relationship with China)」と題する演説と、30日にポンペオ長官がニューヨークで行った「中国からの挑戦(The China Challenge)」というテーマでの演説だ。

 ちょうど1年前、米中間で制裁や報復の関税合戦が拡大する最中、ペンス副大統領が行った演説は、「(米中)新冷戦」との認識が世界に広がる契機になったが、今回のペンス演説は対決姿勢を再び鮮明にしたものの、戦略を一部、修正したように思われる。

 来年の大統領選を控え、中国との経済的利害を抱える経済界や農畜産業界に配慮してのことだが、一方で巨大市場を意識して中国側にすり寄ろうとする動きにくぎを刺すものだった。