Photo: Adobe Stock
量子コンピュータが私たちの未来を変える日は実はすぐそこまで来ている。
『教養としての量子コンピュータ』では、最前線で研究を牽引する大阪大学教授の藤井啓祐氏が、物理学、情報科学、ビジネスの視点から、量子コンピュータをわかりやすく、かつ面白く伝えている。
そんな量子コンピュータの実現方法は大きく分けて、超伝導量子ビット方式、イオントラップ方式、冷却中性原子方式、半導体量子ビット方式、光方式の5つがある。
今回はその中でも半導体量子ビット方式について抜粋してお届けする。
AI需要で活気づく「とある方式」
半導体量子ビット方式は量子ビットの数では遅れを取るものの、アメリカのインテルが12量子ビットのチップセットを研究者向けに提供するなど活気づいている。
これは、AI需要による現在の半導体業界の好況も相まってのことだ。
半導体分野には既に多くの技術と製造体制が整っているため、技術的なブレイクスルーが起これば、一気に開発が進む可能性がある。
半導体量子ビット方式は、半導体チップのなかに電子を閉じ込め、それを量子ビットとして使っている。
半導体チップのなかには、「量子ドット」という電気でできた溝があり、そこに電子を閉じ込めるのだ。
ほぼ小型の冷蔵庫!?
アイルランドのスタートアップであるイコールワン社(Equal1)は、2025年3月に世界初の半導体量子コンピュータ「BELL-1」を発表した。
超伝導量子コンピュータに比べると比較的高温の0.3ケルビン(それでも宇宙空間より温度が低いマイナス272.85度)で動作するため、小型の冷蔵庫くらいのコンパクトなサイズに収まる。
私も2025年3月のアメリカ物理学会の展示会で実際に「BELL-1」を見てきたが、大規模な冷凍機が必要となる超伝導量子コンピュータと比べてコンパクトな点に驚いた。
まだ6量子ビットだが、今後の大規模化に期待したい。
他にも、イギリスのクオンタム・モーション社(Quantum Motion)、オーストラリアのディラク社(Diraq)、シリコン・クオンタム・コンピューティング社(Silicon Quantum Computing)などのスタートアップも参戦している。
(本稿は『教養としての量子コンピュータ』から一部抜粋・編集したものです。)





