写真:閉鎖されたニューヨーク州労働局閉鎖されたニューヨーク州労働局の前に立つ男性(米ニューヨーク市ブルックリン、5月7日) Photo:Stephanie Keith/gettyimages

米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」の注目記事の要点を短時間でまとめ読みできてしまう『WSJ3分解説』。今回は、2つの謎を解明します。一つは、米失業率が14.7%と戦後最悪を更新したにもかかわらず株高になったという謎。もう一つは、世界のエコノミストや政策当局者、企業幹部たちが「ナイキのロゴマークの型」に注目しているという謎です。(ダイヤモンド編集部副編集長 鈴木崇久)

米失業率は14.7%を記録
大恐慌以来の水準に

 新型コロナウイルス禍が人類の経済史に残した巨大な爪痕――。それを示す数字がまた一つ明らかになりました。

 米有力経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」の次の記事がそのことを端的に報じています。

●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より
>>米雇用に即効薬なし、新型コロナの深い傷 

「米労働省が8日発表した4月の非農業部門雇用者数は前月比2050万人減となった。新型コロナウイルス危機で労働市場の広範にわたって職が失われ、就業者数は13.5%減少した」

「記録に残る過去のどの月も(第2次世界大戦の終結で工場の稼働が休止され、就業者が4.8%減少した1945年9月でさえ)、今回の水準には遠く及ばない」

「失業率は14.7%に上昇し、大恐慌以来の水準に達した」

 WSJはこのように、コロナ禍の歴史的大惨事ぶりを伝えています。そして、「もし職探しができない多くの人々が労働人口から除外されていなければ、さらに悪化していただろう」と述べ、次のように続けています。

「労働参加率が2月の水準だったならば、失業率は19%になっていたところだ。さらに、実際には働いていないが、就業中と誤って申請したと労働省が考える多くの人々を加えると、失業率は約23.5%になっていただろう」

戦後最悪の失業率と矛盾する
株価上昇に頭を悩ませる投資家

 ところが今、多くの人が首をかしげる「謎の状況」が生じています。WSJの次の記事を見てみましょう。

●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より
>>米株なぜ調子いいのか、5つの理由

「直近の米雇用統計で失業率が記録的な水準となり、投資家は矛盾する2つの現象にますます頭を悩ませている。それは、株価上昇と景気低迷だ」

 同記事はそんな書き出しで始まります。そしてその矛盾を読み解くために、「謎の状況」が生じている「5つの理由」を解説しています。

 では、さらにこの記事を読み進めていきましょう。