米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」の注目記事の要点を短時間でまとめ読みできてしまう『WSJ3分解説』。今回は、2020年3月期の決算が過去最大の1兆3646億円の営業赤字に転落したソフトバンクグループを取り上げます。世界中のテクノロジー企業に巨額投資を続けてきた同グループのつまずきを、米紙はどう報じ、評価しているのでしょうか。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
過去最大の赤字に転落
コロナが投資先を直撃
ソフトバンクグループ(SBG)は、2020年3月期に過去最大となる1兆3646億円の営業赤字に転落しました。改めてその要因を振り返ってみましょう。
●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より
>>ソフトバンクの巨額投資、コロナ直撃の惨状
記事ではそのタイトルにあるように、新型コロナウイルス感染症による世界経済の混乱と停滞が最大の要因であると報じています。
「ソフトバンクのビジョン・ファンドは資金の約半分をわずか7社に投じたが、その大半の業界は新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)で特に大きな打撃を受けた。3件は配車サービス企業で、1件はホテル事業である」
コロナ禍によって米国や欧州で都市封鎖が行われたため、人の移動は一気に減りました。配車サービスやホテルはその影響をもろに受けたのです。
さらに、物理的に他人と物やサービスを共有する、いわゆるシェアサービスも大きな打撃を受けました。SBGが巨額の投資を行ってきた米シェアオフィス大手「ウィーワーク」(ウィーカンパニー)も例外ではありませんでした。
ウィーワークのコンセプトは、入居している企業同士の交流を促し、そこから新たな発想やイノベーションが生まれるというもの。しかし、在宅勤務がスタンダードとなったコロナ禍の下では、このコンセプトは全くそぐわなくなってしまいました。
もっとも、ウィーワークについては、収益性とガバナンスが問題視され、19年9月に上場計画を白紙にするなど、問題を抱えていました。それもあり、記事では以下のように取り上げられています。
「米シェアオフィス大手ウィーワークは、複数企業の従業員であふれるオープンオフィスという構想が『ウイルス禍時代』以前の遺物と化す前から、問題に見舞われていた」