ソフトバンクグループは、創業以来最大規模の赤字を計上する。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、孫正義氏の10兆円ファンドが巨額損失を計上するためだ。だが、その危機は始まったばかり。特集『ソフトバンク巨額赤字の惨禍』(全6回)の#1で、激震に見舞われた内情に迫る。
孫氏のSNS猛投稿の陰で
創業以来の大赤字
「了解です。無事に医療用マスク、フェースシールドなどが入荷できましたら早速対応させていただきます」
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長のツイッターの投稿が目立っている。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、孫氏自らが医療物資を調達して提供する意向を表明したところ、大阪府の吉村洋文知事や愛知県の大村秀章知事ら自治体トップから支援を求める書き込みが殺到した。
ソフトバンクグループは利益を乗せずに自治体や医療機関に販売する方針を取り、孫氏自身が毎日のようにツイッターで書き込みに応答している。
未曽有のコロナ危機の対策に手を尽くす孫氏だが4月19日、その行動を釈明するような投稿が注目を浴びた。「本業が創業以来最大の赤字です。懸命に朝から夜中まで業績回復に頑張っています。でも苦しんでいる人々のことが気になって……投資家の皆さまには申し訳ない」。
ソフトバンクグループが2020年3月期の連結当期純損益について7500億円の赤字になると発表したのは13日。その衝撃が頭から離れない孫氏の心中は穏やかではないようだ。