日本政府は4月7日、新型コロナウイルス対策として緊急事態宣言を発令した。これから感染防止目的で経済活動が制限され、欧米各国に似た状況に突入する。特に米国は非常に厳しい制限策を実施中。日本の事態急転で忘れがちだが、米国のロックダウンが日本経済に与える影響は軽視できない。緊急連載『世界経済ロックダウン』の#7は、米国の新型コロナパニックで業績に大打撃を被りそうな企業60社を一挙公開する。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ、ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
ビジネスリスクとして
米国の状況を正確に知るべき
緊急事態宣言は日本版ロックダウンといわれる。だが米国がロックダウンとして行っていることは、制限される経済活動の範囲、実施地域の広さ、強制力といった点では日本と比べ物にならないぐらい厳しい。この事実を、遠く離れた日本のビジネスパーソンや投資家は、リスク情報として知っておく必要がある。
例えばペンシルベニア州は3月19日から、生命維持に直結しないあらゆる事業活動を停止している(オンライン経由は除く)。この措置の導入に合わせて、「どのビジネスが継続可能で、どのビジネスが不可能なのか」の詳細なリストが公開された。このリストは7ページに及び、「自動車ディーラーはダメ」だが「自動車部品販売はOK」で、「自動車や航空機など乗り物系の工場はダメ」だが「化学や製薬の工場はOK」とするなど緻密だ。
カリフォルニア州も食品や医療など重要な16業種にのみ稼働を限っている。ニュージャージー州は結婚式を含むあらゆる集まりを、開催規模が何人であろうが全て禁じている。こういった厳しい施策が、州知事の権限の下にさまざまに定められつつある。4月7日時点で、「自宅待機を推奨」以外の何らかの施策を命じている州は全50州中、9割前後に上っている。
これを見れば、米ゴールドマン・サックスが米国のGDP(国内総生産)成長率について4~6月期(2Q)にマイナス34%(前期比年率)と予想したのもあながち過大ではないことが分かるだろう。こういった施策が、日本企業に影響しないはずがない。単に影響するか否かではなく、「どの程度、企業業績全体に打撃を受けるのか」が論点である。
自動車産業への
打撃が大きそう
そこでダイヤモンド編集部は、日本の主要な上場企業のうち、全社売上高に占める米国売上高の比率が高い企業を抽出し、ランキングした。
具体的には東京証券取引所の上場企業のうち、時価総額1000億円以上(3月31日の終値ベース)の208社に絞り、そのうち直近の決算期の米国売上高(北米を開示区分としている企業を含む)が全社売上高の2割を超える企業を挙げた。その結果、ランキングには60社が残った。ヘルスケアや食品など、新型コロナウイルスの感染拡大を受けても事業活動が継続されている業種も含まれていることには注意してほしい。