「繊細さん」がアウトプットしたくなるのは、人生の転機の前兆?

 なぜ自分はストレスに耐えられなかったのだろう? どうして気にしすぎてしまうんだろう? 鈍感だったらもっと楽に生きられるのに──。
 あなたには、仕事でそんな悩みを持った経験はないだろうか。まわりの人が気にしないような小さなことが気になる、相手の気持ちを敏感に察知してしまって疲れるなどの悩み。実はそれはあなたのせいではなく、「繊細」な気質があるというだけなのかもしれない。
『世界一受けたい授業』など多数のメディアで話題のHSP(Highly Sensitive Person:とても敏感な人)専門カウンセラー・武田友紀先生は、「繊細さ」は「幸せを感じるため」の素敵な感性であると語る。
 今回は、「繊細な感性を持つからこそ」深く味わえる幸せを紹介する『今日も明日も「いいこと」がみつかる「繊細さん」の幸せリスト』の発売を記念し、著者・武田先生に取材を行った。
 ストレスで会社を2年間休職したことがきっかけでHSPを自覚したという武田先生は、「繊細さは克服するべき課題ではなく、毎日の幸せを存分に味わえる大事な感性である」と語る。
 今回は、繊細さんだからこそ楽しめる「アウトプット」について、徹底して聞いてみた。(取材・構成/川代紗生、撮影/疋田千里)

「自分はHSPかもしれない」と気が付くきっかけとは?

──実は、私自身も「繊細さん」で、色々なことに敏感すぎるがゆえに悩んできたことがたくさんあったんです。なので、今回のこの本は、本当に目からウロコという感じでした!

武田 そうなんですね、ありがとうございます!

──ぐっと刺さったところがたくさんあったのですが、武田先生ご自身は、この本の最大の魅力は、ずばり何だとお考えですか?

武田 繊細さんの素敵なところがたくさん書かれていることですね。「自分にはいいところがこんなにたくさんあったんだ」と気づけると思います。これからの仕事や、幸せを伸ばす手掛かりになるのかなと。この本には、繊細さんが「どんなふうに直感を使っていくの?」とか「どんなふうに深く考えるの?」とか、そういうことが書いてあるので、「自分の仕組み」が分かると思いますよ。

──「自分の仕組み」?

武田 ええ。「自分が趣味でやってたことってこういうことだったんだ!」みたいに、仕組みが分かると、仕事でも日常でも繊細さを生かしやすくなるんです。本を読んだ方がTwitterで「新しいことをやってみました!」「◯◯をこれからどうしようか迷っていたけど、こうしてみることにしました」などツイートしているのを見ることがありますね。

「繊細さん」がアウトプットしたくなるのは、人生の転機の前兆?武田友紀(たけだ・ゆき)
HSP専門カウンセラー
自身もHSPである。九州大学工学部機械航空工学科卒。大手メーカーで研究開発に従事後、カウンセラーとして独立。全国のHSPから寄せられる相談をもとに、HSPならではの人間関係や幸せに活躍できる仕事の選び方を研究。HSPの心の仕組みを大切にしたカウンセリングとHSP向け適職診断が評判を呼び、日本全国から相談者が訪れる。著書に『今日も明日も「いいこと」がみつかる「繊細さん」の幸せリスト』(ダイヤモンド社)、『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』(飛鳥新社)、『繊細さんが「自分のまま」で生きる本』(清流出版)がある。ラジオやテレビに出演する他、講演会やトークイベントなども開催し、HSPの認知度向上に努める。

──たしかに、武田さんのこの本をきっかけに「Twitterを始めました」「noteを始めました」という投稿を、SNSでいくつか見かけました。この本が新しいことを始める原動力になっているのは、素晴らしいことですよね。

武田 そうですね。この本を読んだことが、これまで「当たり前だ」と思っていたことに気付くきっかけになっているのかなと思います。

──「繊細さん」は、繊細な自分の特徴に、どのような経緯で気付く方が多いのでしょうか?

武田 最近はSNSやテレビ、雑誌などを通して知る方も多いんですが、やはり悩みから入る方が多い印象ですね。仕事や人間関係に悩んでいる方が、インターネットなどで「仕事つらい」などと検索をするわけです。そこからHSPという言葉を知って、ネットで調べたり本を読んだりする、という流れです。

──武田先生ご自身も、もともと仕事で悩み、休職されたことがきっかけでHSPについて知ったと伺いましたが。

武田 そうそう。ただ、当時は情報が何もなかったので、調べようがなかったんですよ。私が休職したのは2011年頃ですが、まだHSPって全然知られていなくて。私は会社員時代にプライベートでコーチングを受けていたのですが、その方がブログで、HSPの考え方を提唱したエレイン・N・アーロン博士の本を紹介していたんです。その本を読んで「自分もこれだ!」って気付いたのがきっかけでした。