ミスインターナショナルクイーン20203月7日にタイ・パタヤで開催されたトランスジェンダーの美人コンテスト「ミスインターナショナルクイーン2020」 Photo:SOPA Images/gettyimages

LGBTなど性的少数者に寛容なタイで、同性婚カップルに対し一般の男女の夫婦と同等の権利を認める法案が閣議決定された。アジアでは台湾に続く2カ国・地域目。順調に進めば年内にも議会で可決、成立する見通しだ。当事者らにとっては待ちに待った吉報だが、反響はそれだけにはとどまらない。このチャンスをビジネスにも活用しようという動きが一部で始まっている。日本やタイの事情に詳しい日本人トランスジェンダーに話を聞いた。(バンコク在住ジャーナリスト 小堀晋一)

毎年数万人が
タイで性別適合手術

「同性婚が実現すれば、生命保険に加入することだってできる。資産用のマンションを買うことも。タイの結婚式会場に世界中からLGBTが集まってくるかもしれない。苦しむ人々が減るという側面だけではなく、ビジネスへの波及効果もかなり大きい。今こそ活用のチャンスだ」

 性的少数者として素直に喜びながらも千載一遇のビジネスチャンスでもあると訴えるのは、タイで性別適合手術を受け、女性から男性へと戸籍も変更した田中翔さん(仮名)。アパレル関係の店をタイで切り盛りする働き盛りの30代だ。男性になったのはもう10年以上も前。これまで多くのLGBTの悩みにも応じてきた。