3月末でETF保有総額51兆円
保有シェア10%以上は75社

 日本銀行が買い入れた上場投資信託(ETF)の保有総額が、2021年3月末時点で51.4兆円(時価)になっていることがニッセイ基礎研究所の試算でわかった。

 コロナ禍で買い入れを増やしたことや経済回復期待から株価が急上昇したことで20年3月期から約20兆円も膨らんだ。

 ETF購入を通じて日銀が間接保有する株式のシェアが20%以上の企業は、アドバンスト、ファーストリテイリングなど4社、10%台を占める企業は71社に上る。

 日銀は3月の政策決定会合で、長期緩和の副作用対策として、株式市場の機能を低下させていると批判の強いETF買い入れの見直しを打ち出したが、市場への影響を考えれば、保有額の縮小には時間がかかる。

 中央銀行が株式市場の「最大株主」という異常な状態が解消されるのは当分は難しそうだ。

株主保有企業の上位に
京セラ、ファナック、コナミなど

 試算をまとめた井出真吾・チーフ株式ストラテジストによると、21年3月末現在での保有株の簿価は36.0兆円(20年3月期は30.9兆円=日銀公表値)、含み益は15.4兆円(同2937億円)。保有株に含み損が発生する損益分岐点は、日経平均株価2万436円だ。

 ETF購入を通じて日銀が「大株主」になっている上位企業では、発行済み株式の25.2%を持つアドバンテストを筆頭に、「ユニクロ」のファーストリテイリング(保有シェア20.7%)、TDK(20.6%)、太陽誘電(20.1%)が20%以上の保有シェア。10%台を占める71社の中には、日産化学や京セラ、コナミホールディングス、キッコーマン、ファナックなど、さまざま業種の企業が入る。

(注1)ランキングの個別銘柄の保有シェアは、日銀が保有するTOPIX連動型や日経平均連動型などのETFの構成割合に応じて、それぞれに組み込まれている個別銘柄の「間接保有額(時価)」を出し、各銘柄の発行済み株式総額(時価)で割って算出した。